2016年12月 3日 (土)

日本の95%の河川で砂金が採れる。AI社会では人口減少の日本は有利になる。16年12月3日

11月29日Eテレ「すイエんサー・黄金をゲットしてお金もちになろう・後編」は楽しかった。前編から後編にかけて、すイエんサーガールズは山梨の金鉱山跡から荒川の川辺まで砂金を探しに奮闘するが見つからず疲労困憊していた。しかし、後編終了間際に砂金取りの名人が現れると、砂金ラッシュが始まった。

名人は1日に25万円分の砂金を採取した実績がある。
番組によると日本の9割以上の河川で砂金が見つかると言う。見つけるポイントは河原の岩盤のくぼみ。湾曲した川の内側。河原に生えている草の根。大きな岩の下など。番組では増水時に水没する河原の草を抜いて、根に付着した泥を水洗いして見つけていた。小さくても重い砂金の特性として、上流から流されてきた砂金は川底の砂中を岩盤に達するまで沈んで行く。しかし草があると根にひっかかってそこに留まる。

身近な川底の岩盤近くに砂金が埋まっている可能性は大いにある。昔砂金が取れたが今は放棄されている場所に、再度砂金が溜まっている可能性は大きい。

2年で終わったが、北海道枝幸郡浜頓別町では明治31年にゴールドラッシュが起きた。その時、800グラム近い金塊が見つかっている。現代の砂金取りポイントは北海道・歴舟中の川上流、岩手県・気仙川、山形県・立谷沢川上流、静岡県・安倍川上流の日影沢などがある。関東では番組に登場した荒川の長瀞あたりが狙い目だ。ちなみに、「金坪」「金壺」「金窪」「金久保」など金がつく地名のある地域ではかって金が取れていた場所が多い。

砂金取りで使う、余分な石ころや砂を洗い流すパンニング皿は東急ハンズ渋谷店でいつでも買える。砂金取りは金儲けのためならやめたがいい。砂金は見た目ほどの重量はなく、1グラム採取するには大変な重労働となる。番組では3人で14,5粒の砂金を見つけていたが今の金価格1グラム4700円で数十円程度だ。しかし、宝くじを買うよりはるかに夢がある健康的な遊びだ。

カルフォルニアのゴールドラッシュ時は、ヨーロッパから一般市民だけでなく牧師から乞食まで渡米して人口が減少し歴史が変わった。その時、最初に見つけた人たちは砂つぶほどの砂金には目もくれず、小豆大から小石大の金塊ばかりを集めていたほどの濃密さだった。

その頃、現地のインデアンが銃の鉛玉の代わりに金塊を使っていた、との伝説がある。もっとも、一番儲けたのは砂金取りに食料などを高額で売って暴利を稼いだ商人たちだ。リーバイスは砂金取りのために丈夫なズボンを作って儲け、それがジーンズの始まりとなった。ディズニーランドのビッグサンダー・マウンテンはゴールドラッシュが終わって寂れた10年後をモチーフにしている。

ネットに現代のアラスカの砂金取りの動画があった。
老砂金堀りが石ころだらけの枯れ沢を掘り、樋の水流で洗うと砂金が幾層もの帯状に沈殿した。見た目200グラムほどはあった。好調な時の映像だとはいえ、米国の秘境には日本とは比べものにならないほどに砂金が大量に眠っているようだ。


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マーラー交響曲第5番を聴きながら描いた。
この曲はルキノ・ヴィスコンティ監督の耽美的な1971年作品「ベニスに死す」のテーマ曲に使われた。絵は第二次大戦のB29による空襲を描いた。戦争を描いたのは映画に死の影が濃密に漂っていたからだと思っている。


トイレの小窓を開けると荒川の広大な景色が見える。先月始めは降るように虫の声が聞こえた。深夜に、ゴルフ場の川辺の葦の茂みを行く狐の鳴き声が聞こえることがある。奥秩父の山野から野ウサギやノネズミなどを追って下ってきたのだろう。ここは都区内で最高に野性味のあるトイレかもしれない。


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先月の初雪の日の朝の荒川。


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夕暮れにコギーを連れた散歩。


先日、2015年制作SF映画の「エクス・マキナ」を観た。
ロボットの反乱をテーマにしたSF映画は多いが、この映画はシンプルで分かりやすかった。物語の設定場所は巨大IT企業社長ネイサン所有の別荘。北方の広大な山奥に密かに作られた別荘はヘリ以外で近づくことはできない。そこに有能なプログラマーのケイレブは招待された。

ケイレブ招待の本当の目的は、美しいロボットのエヴァの人間的な要素をテストさせるためだった。しかし、エヴァは巧妙にケイレブを騙して脱出に成功した。
映画に登場するのはケイレブとネイサンとエヴァと家事を担当するロボットキョウコだけだ。飲んだくれのネイサン社長が、その一方で連日熱心に体を鍛えているのは深い訳があった・・・

このような人型ロボットが登場するのは30年後のシンギュラリティ以後になるだろう。それまでに登場するAIは人の完全な制御下に置かれるが、手足で自由に行動できるようになると、制御はとても難しくなる。今、10歳以下の子供たちが熟年に達する頃に、そのような人型ロボットが登場する可能性は大きい。


囲碁や将棋での人対AIの対戦などで、人工知能社会が急速に身近になった。しかし、若者と我々世代ではAI社会への認識は大きく違い若者たちの拒否反応は強い。

最近、毎日のように高齢者の運転ミスによる自動車事故が報道されている。昨夜も散歩していると赤信号を無視して疾走する小型車がいた。それらはAIを使った自動運転が普及すればなくなる。介護施設での介助ロボットによる省力化も期待されている。老人にとってAIは良いことづくめだが、若者にはAIは仕事を奪う元凶で、10年後には今ある仕事の半分がなくなるとなれば人ごとではない。


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先月の秋景色。初雪を境に、今は一気に冬景色に変わった。


人を人らしくしているのは悩むことだ。
対して人工知能は基本的に死を恐れないし悩むこともない。しかし、自己防衛機能を持たせれば、人のように不安を抱き、人間への安全と命令への服従を破る可能性はある。その結果、先のロボット・エヴァのように殺人を犯し、逃亡を図ろうとすることはあり得る。

SFには宇宙人来襲とロボットの反乱と大きな二つの流れがある。
高度な知能と科学力で地球を侵略する宇宙人と、人が作り出してやがて反乱する人型ロボットは極めて似ている。シンギュラリティ後の人型AIの登場は宇宙人の地球侵略と同じようなものになりかねない。

これから10年の間に人々の人生観が激変することは確実だ。
今は成功のために努力が必須だが、やがて勉学や技術の研鑽への努力が無駄になる世の中がやって来る。例えば、4年後のオリンピックまでにはスマホのSiri機能を使って自動翻訳が可能になる。日本語で「こんにちは」とスマホに語りかけるとネットを通じてクラウド・コンピューティングに接続されて翻訳され、スマホは直ちに「Hello」と言葉を発する。先日、NHKでの紹介番組ではそのシステムで外国人観光客と複雑な会話を瞬時にやり取りしていた。このシステムが一般化すれば、外国語必須の職業は別として、大多数の日本人は英語学習に多大の時間を割く必要はなくなる。

まだSFの世界だが、スマホと脳が電極でつながれ、クラウド・コンピューティングにダイレクトに接続すれば、誰でも高度な思考が可能になる。

職人仕事は一見AIの不得意科目に思えるが実際は違う。人工知能の特性は相手に応じて柔軟に対処できることにある。名人の仕事を的確に学習したAIが加工機械を駆使して、高精度の製品を作るAI職人の登場は目前に迫っている。

昔、近所に鋳物の木型を作る名人がいた。木型とは鋳物の砂型に型をつける母材のことだ。彼の敷地に列車車輪などの美しい木型が陰干ししてあるのを時折見かけた。名人は高給を稼ぎ豊かに暮らしていたが、いつの間にか仕事はなくなった。高度な加工技術が必要だった木材の木型が、コンピューター制御のNCマシンで樹脂を加工した木型に変わったからだ。樹脂に変わった今も名前は木型と呼んでいる。

この20年ほどの技術革新は目を見張るものがある。
しかし、これから10年間の革新はそれを何倍も凌駕するものだ。AI化によって後進国と先進国の技術格差は解消する。同時に日本での少子高齢化はプラス要因となる。マンパワーを必要としないAI社会では少人口の方が有利で社会は安定する。人口爆発している後進国では、失業者が激増して発展への足かせとなる。

すでに中国ではその傾向が見られる。
急速なロボット導入が進んだ結果、低賃金労働者が不要になって、出口のない不況に覆われている。これから更にAI化によって中国の失業問題はますます深刻になりそうだ。


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2016年11月14日 (月)

寒い小雨の黄昏、鷲神社の酉の市へ出かけた。今夜の超スーパームーンは曇り空で見れそうにない。16年11月14日

今日14日月曜日は68年ぶりの超スーパームーン。
月はいつもより直径で約14%、面積で約30%大きく見える。しかし、予報は曇りのち雨。奇跡的に一瞬でも雲に隙間ができたら眺められるかもしれない。スーパームーンは願い事を叶えてくれる。その一瞬を逃さなかったら本当に幸せになれるかもしれない。


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荒川土手をジョギングする人とスーパームーン2日前の月


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同じく、土手上から河口方面を見る。


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スーパームーン前日。

スーパームーン前の月明かりの土手道を歩いていると、脚の綺麗な女の子が背伸びして若者にキスをしていた。
「つま立つものは立たず」老子24章の一節が脳裏をよぎった。
「爪先立っていてはすぐに疲れてしまう」の意だ。
その通り、どんなに熱い恋でもすぐに終わる。
しかし、通り過ぎて振り返り「若いって良いな」と月と二人を交互に眺めた。



11月11日は寒い曇り空から時折小雨が落ちていた。
今年も、浅草・鷲神社の酉の市に出かけた。コースはいつものように京浜東北線王子駅で下車し、三ノ輪橋行きの都電荒川線に乗り換えた。都電のホームに立つと、デジャブのように昔を思い出した。

都電は電子化された最新車両だった。
運転席すぐ後ろに立って、小雨に濡れた黄昏の下町風景を眺めた。濡れた道を重たげに黒っぽいコートの通行人たちが前かがみに歩いていた。
踏切にさしかかると信号機の音が過ぎた。昭和30年代の懐かしい下町風景が、荒川線にはまだ残っている。不意に「千と千尋の神隠し」の電車のシーンが重なった。


終点の三ノ輪橋で下車し、レトロな梅沢写真館のアーケードを抜けて昭和通りに出た。梅沢写真館内のアーケードには、昔は飲み屋、焼き鳥屋、新聞販売所が賑やかに並んでいたが、今、ほとんどはシャッターが閉まり、青白い蛍光灯に照らされた簡易食堂だけが寂しく営業していた。

昭和通りから国際通りに分かれると夜店が始まり人通りが増えた。
 
 
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外人女子二人がフーフー息を吹き付けながら美味しそうに鯛焼きを頬張っていた。
アニメの影響で世界的に鯛焼き人気が盛り上がり、カッパ橋には世界から鯛焼き器のネット注文が殺到している。
絵に描いた一匹焼きの鯛焼き器は我が家にあったもので通称「天然物」と呼ばれている。実際に夜店にあったのは20匹ほどを一気に焼くプロ用の通称「養殖物」だ。

人並みでこんざつする国際通りから竜泉で一葉記念館方向へ左折し、裏通りへそれた。
途中、飛不動にお参りした。
このお不動さまは航空機関係のお参りが多い。


寒い小雨混ざりのせいで人出は例年より少なかった。
鷲神社へ入るには、いつもなら30分以上並ぶが15分ほどでお参りできた。
本殿に手を合わせてから熊手のお守りを買った。

いつもは可愛い巫女さんを選ぶが、今回は、手伝いのおじいさんから買った。
「リュックが空いてるよ」
おじいさんは教えてくれた。
礼を言うと「自分もよく閉めるのを忘れるよ」と人懐っこく笑った。
「昔は、後ろから賽銭が飛んできたので、リュックを開けておくとお金が入っていましたよ」そう言うと彼は楽しそうに相槌を打った。短いやり取りに下町らしい暖かさがあって、雨に沈みがちな気持ちが安らいだ。

鷲神社の隣は神仏習合の名残りの長国寺で、酉の市の本家争いをしている。こちらも鷲神社と同じようにお参りした。
本殿内では祈願者を前に僧侶たちが商売繁盛の読経をしていた。
私もあやかって一緒に手を合わせた。

「この野郎、なんで中へ入れないんだ」
私の脇で酔っ払いが警備員に食ってかかっていた。
飲まなければおとなしい人だろう。
成り行きを見たかったが、早く帰りたいので裏通りへ抜け、浅草寺へ向かった。酉の市へ向かう家族連れの外人観光客をたくさん見かけた。

閉園した花やしき前を通って裏門から浅草寺をお参りした。5時過ぎで本殿は閉まっていたが、仲見世から大勢の外人観光客が流れて来ていた。

境内のおみくじ売り場は人だかりがして「簽桶」(おみくじ棒が入った器)を振る音があちこちで響いていた。簽桶から出たおみくじ棒の数字に合わせて引き出しを開け、おみくじを取り出す方式だ。私はかって6回連続凶を引いた。それからおみくじは引かないことにしている。6回連続でも、低空飛行ながら何とか生きてこられたのは謙虚に暮らして来たからだと信じている。

浅草寺は凶の確率が高い。少し立ち止まって眺めていると熟年カップルの男性が「ヒェーッ」と声をあげた。どうやら凶を当てたようだ。「どうしようか」男性はおみくじを手にしたまま目が虚ろだった。傍の女性は「信じられない」とそっぽを向いた。

参考に、ブログに以前書いた凶からの逃れ方がある。それは、利き腕ない方の片手だけでおみくじ用の横棒に結びつけることだ。難しいやり方をすることで困難を克服することに通じ「災い転じて福となす」となる。

仲見世に入ると、熟年白人男性が揚げたての揚げまんじゅうを買っていた。彼は一口食べると美味しかったようで、スマホで写真を撮っていた。画像をSNSに上げるのだろう。
仲見世の混雑の半数は外人観光客だった。人混みをかき分けるように地下鉄銀座線へ向かい、アメ横に寄って帰宅した。
次の酉の市は11月23日。勤労感謝の日と重なるので大混雑だろう。
 
 
トルストイの「戦争と平和」全8話が終わった。
この名作を改めて説明する必要はないが・・・時代は19世紀初頭のナポレオン戦争下のロシア。戦争に翻弄されながら貴族社会の若者たちが人生の意味と真実の愛を求めて煩悶しながら生きる。
幾度もドラマ化映画化された小説だが、この英国制作のドラマは貴族社会と戦争がバランスよく配された佳作だった。

最終回、フランス軍の捕虜になったピエールは無学だが思慮深い元農民兵プラトンと出会った。死が身近に迫る極限状態で、彼はプラトンに真に生きることと自由の意味を教えられた。

ナポレオンが敗走し救出されたピエールは、死んだ親友アンドレイの元婚約者ナターシャと結ばれた。

光溢れる果樹園。野外テーブルでの家族が増えた一族の明るく幸せな食事風景。それらを俯瞰してピエールのエピローグが重なった。

・・・苦しみは不幸なこととされている。
でももし、捕虜になる前の自分のままでよかったかと問われれば、喜んでもう一度捕虜になると答えよう。
みんなが座っている、この幸せに感謝しながら・・・
人生が軌道から外れると、もう何もかも終わりだという気持ちになる。
でもそれは、何か素晴らしいことへの始まりでもある。
人生が続く限り幸せはある・・・行く手には多くの幸せが待っている。

ドラマなので原作そのままではないが、上記のエピローグはトルストイの心情そのものだ。だから素朴に心に響く。
トルストイに影響を与えた思想家に老子がいる。
彼の言う幸せは老子的に天地に従って人生を送り終わることだろう。


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2016年11月10日 (木)

ヒラリーのリベラリズム(自由主義)の欺瞞と米国型資本主義の暴走がトランプ勝利を生んだ。16年11月10日

ヒラリーのリベラリズムは資本主義の暴走を招き、自由平等を唱えながら極端な格差社会を生んだ。ヒラリー夫妻はリベラルを装いながら裏で汚れた政治献金で稼いでいた。それがメール問題の元凶だ。それに付け入ったトランプ自身も富裕層側にいる。しかし、支持者の白人労働者たちは彼のごまかしに気づいていない。

トランプは減税すると言っているが、最も恩恵を受けるのは彼自身と少数の富裕層だ。その結果、格差はさらに拡大する。国内の老朽化したインフラ整備や経済再建のために大投資をすると言っているが、減税によって縮小した財源では難しい。

白人労働者が移民に仕事を奪われたのは事実だが、それを招いたのはグローバル化により職場が縮小したからだ。実際は多国籍企業が生産を海外に移転させて米国民を苦境に陥れた。しかし、彼はそれに切り込まず、巧みに白人労働者の憎しみの矛先を移民に向けて勝利した。彼は日本を始めとする海外諸国がアメリカを衰退させたとアジって来た。しかし、米国企業は一貫して世界のトップグールプと富を独占し、多国籍化して税金逃れをしている。そのことも白人労働者たちは気づいていない。

格差解消に不熱心だったのはヒラリーも同じだ。今回の大統領選で格差問題を根本から改革しようとしていたのはサンダース候補一人だったが落選した。それが史上最低の大統領選と言われる所以だ。やがてトランプ支持層は彼の欺瞞に気づくだろう。その時、深い失望感が米国を覆い、反トランプ派との対立も重なり深い混迷が始まる。


誰もが言うように彼は外交防衛については全く無知だ。アメリカの軍事力を強大にすると言っているが財源はない。アジア、殊に日本から手を引き放任すると言っているが、今まで内政干渉してきた歴史を無視している。駐留経費75%負担は世界の米軍駐留地域の中で突出して多いのに全く理解していない。その無知は彼を支持した白人労働者たちも同じだ。彼が人気取りのためにした日本叩きは中国の日本叩きに酷似している。

トランプ勝利を喜んでいるのは中国とロシアだ。
日本の民族主義者はこれを機会に自主防衛を主張するだろう。しかし、自主防衛への環境整備には時間も金もかかり、その虚をついて中国は尖閣侵攻を強めるはずだ。尖閣・沖縄を奪うのは既定路線で、実行しなければ国民の反発で中国政府は崩壊する。その実情を熟知している米軍関係者がトランプに抵抗したとしても、米軍の日本防衛意識は確実に弱まる。

世界が不安に思っているのは彼の人種偏見だ。ヨーロッパとイスラエルとは良好な関係を築くが、それ以外とは摩擦を起こしテロが増えるだろう。大統領に就任すれば偏見を抑え込むが、政策に反映されるのは避けられない。彼は日本、メキシコを敵視して注目を集めたが、日米同盟の重要さをまたく理解していない。国境に壁を作ってメキシコ人を排除しようとしている彼は、米国農業や企業が低賃金の彼らで支えられていることを理解していない。


トランプは豪放磊落に見えるが、その実、損失を与えた者への遺恨を忘れない。日本の外交当局は彼の過去を徹底的に調べ、その点を慎重に考慮すべきだ。お金好きのトランプなら日本が米国債を大量に保有していることを熟知している。それは極端な対日政策の抑制効果はあるだろう。彼との交渉は自己顕示欲をくすぐり、強欲で品のない不動産屋に対するように接すれば巧くいく。

国別米国債保有残高。
1位中国 1兆2440億ドル(約124兆6277億円)2位日本 1兆1147億ドル(約116兆7875億円)3位アイルランド 2706億ドル(約27兆5524億円)4位ケイマン諸島 2694億ドル(約27兆4303億円)

注目すべきは人口数6万人強の英領の西インドの島ケイマン諸島だ。租税回避地としても有名で、ヘッジファンドなどが資産寝かしに米国債を活用して貯めこんでいる。これは極度な格差社会を象徴している。


米国大統領は核ボタンを支配し世界最強だが、政策はトランプ一人で決められることではない。政策には上院下院議員と官僚が深く関与している。1100万人の不法移民を強制送還すると言っているが議会の承認がなければ実行できない。外交に無知なのは興味がなかったからだろう。改めて一から勉強するのは嫌だろうから、共和党の専門家に任せるはずだ。

幸い上院下院ともに共和党が勝った。日本政府と共和党はヒラリー民主よりはるかに親和性がある。昨日の1000円近い株暴落から今日の1000円の大反騰は共和党勝利への安堵感によるものだろう。経済の先行きを最も敏感に反映するのは株だ。この結果は経済混乱は小さいと見ているからだ。円の高騰は米国金利の上昇により、今の所、避けられそうだ。

最も深刻なのは、米国内の対立だ。トランプは収拾を図るが、彼を支持した白人労働者の負のエネルギーと負けた反トランプ派の対立解消は厳しい。本当の格差解消は経済学者のビケティが言うように累進課税による富の再配分しかないが、彼にはできない。

トランプ支持者たちの希望は海外へ移転した企業の国内回帰だが、それではコスト競争に敗れる。それ以前に減益を嫌がる株主たちが許さないだろう。トランプの選択肢は極端な保護主義か、資本主義を更に暴走させてバブルを引き起こし、そのおこぼれを国民に配分することだ。それなら不動産屋トランプの得意分野だ。いずれにせよ、トランプ支持者たちを満足させるのはとても難しい。


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鎌倉、円覚寺の山茶花。
和の花は心に染み入る。


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東京湾岸。
キリンの群れは日本貿易の象徴だ。


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2016年11月 3日 (木)

終末期に見る、死者が迎えに来る幻覚。16年11月3日

久しぶりに暖かい。
窓からの河川敷のそよ風が心地よい。

60歳から70歳へは一瞬で過ぎた。
それ以上に早く、死期は一瞬で訪れる。
だからか、スケジュールを真っ黒に埋め尽くす生き方はやめた。貧しくても、自然や刻々と過ぎて行く月日をしっかりと感じながら過ごしたいと思っている。

・・・我々は土から取られたちり・・彼の遺体を地にゆだねる・・土は土に、灰は灰に、ちりはちりに・・・

うろ覚えの、埋葬に唱えられる祈祷書の言葉がふいに思い浮かんだ。
この言葉は全ての宗派に共通する死への意識だ。

最近、人工知能に委ねられた近未来社会のことを考える。
自分より考えることが優れている機械が現れた時、人は自分の存在意義に悩む。ネコなら悩まずに肉体や感覚に従って生きているのに、人はそれができない。日常の全てに、なぜなぜと理由を考えずにはいられない。

しかし、人は夏の青空や春の野山や厳冬の雪景色のような自然の移り変わりに感動できる。論理的な説明は難しいが、人は自然の一部で、感動できることに存在意義があるのかもしれない。


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荒川土手の空。


終末緩和ケア医・奥野滋子氏が死について書いていた。
奥野滋子氏によると死を前にした多くの人が、死者が迎えに来た幻覚を見て安らかに逝く。

その記述の中で、身寄りのいない60歳女性の終末が心に残った。
彼女は卵巣癌で、夫とは死別し子供はいない。実母は学生時代に亡くなっている。
彼女は腹水が溜まり、体はやつれ、自力で動くこともできない。
ある朝の回診で、彼女は母親が病室に来たと話した。
母親は窓辺に腰掛け外を見ていて、話しかけても自分を振り返ってくれないのが寂しかったと話した。すぐそばにいるのに、答えてくれない母親に、自分は何か悪いことをしてしまったのだろうか、と彼女は悩んでいた。

翌日の回診でも彼女は、母親が背を向けたままだと、暗い顔をしていた。
翌々日、彼女は清々しい顔で回診を待っていた。
彼女は嬉しそうに、母親が自分を見てくれたと話した。そして「いろいろお世話になりました。私は大丈夫です。ありがとうございます」と礼を言った。
その日の午後、彼女は血圧が急下降して意識がなくなり、夜に亡くなった。
多分、臨死状態で分泌される脳内麻薬エンドルフィンによる多幸感の中で、彼女は母親と旅立って行ったのだろう。


家族に囲まれての死はドラマの中だけで、現実にはほとんどない。
家族が居ようと居まいと、人は一人で死ぬ。
24時間体制で妻が付き添っていても、トイレか台所へ立った一瞬に夫が死ぬことはある。隣で寝ていた夫が、朝には冷たくなっていることがある。悲惨なことだが、元気だった赤ちゃんが静かに寝ていると思ったら突然死していることもある。

私は母の最後の吐息と心音を聞くことができたが、これは極めて稀な幸せだと思っている。しかし、それは私が良かったと思っているだけで、死に逝く母の気持ちは別だ。意識は遠く私は傍で手を握っていることにも気づかなかったはずだ。それでも、死の前に先に逝った父、姉、兄の幻覚をしばしば見ていた。無理な延命をしなかった母は、多幸感に包まれながら彼らと旅立って行ったと確信している。

釈迦が語った苦しみに「愛別離苦」がある。
どんなに愛し合っていても、死別の苦しみがある、との意味だ。
努力しても、最期は一人で死ぬほかない。
しかし、救いは多く用意されている。その一つが、終末医療の医師が見た「お迎え」現象や、臨死状態で分泌されるエンドルフィンによる多幸感などだ。


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夕暮れの荒川土手。


むしろ、死別によって残される者の苦しみの方が深い。
それに伴い、死後や終末医療への希望を書きとめる終活ノートが注目されている。
これは近い将来、AI=人工知能を使ったものに変わると思っている。

具体的には、本人の声をAIに登録し、マニュアルに従って自分の考えをAIに詳細に記憶させる。そして、自分が危篤状態に入った時に子供や妻たちはAI化された自分と会話する。
「お父さん、危篤で意識がないけど、延命治療や胃瘻をしてもらう」
するとAIは父親の声で、まるでそこに生きているように答える。
「延命治療は一切しないでくれ。それで助かるわけではなく、ただ苦しい時間が長引くだけのことだ」
AIの目は周りの人たちも認識し、妻や子供の顔を認識し名前で語りかける。家族は死後の墓のことや遺産相続について、残された妻や子供たちは生きている父親を前にしているように話し合うことができる。
それは今すぐにでも、コストさえかければ可能な技術だ。Macの音声入力ソフトSiriを使った明瞭な受け答えを聴きながら、そんな近未来の終活を考えていた。

肉体は絶えず入れ替わり、数年で別物になると言われている。それでも自分が自分であると確信できるの記憶の継続性によるものだ。上記のように、人工知能によって形作られた自分がさらに完璧になれば、形式だけの不死を得られる。だが、それは寂しい不死だ。太古から繰り返されて来た自然死こそが素晴らしい終わりだ。


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2016年11月 1日 (火)

ディズニーランドのカリブの海賊で感じた死者たちからのメッセージ。16年11月1日

ディズニーランドが楽しいのは死を疑似体験できる場所だからだ。
子供たちはディスニーランドで無意識に死を学び、相対的に生の輝きを楽しむ。

私は開園当時からカリブの海賊が大好きだった。
なぜ好きなのか深くは考えなかったが、ある日突然に理解した。

それはシーズンオフの2月、霙で底冷えのするディズニーランドへ一人で行った時のことだ。期待通りガラガラに空いていて、どの人気アトラクションも並ばずに乗れた。
当然ながらカリブの海賊にも行った。
やはり人は並んでいず、私は一人だけで船に乗せられた。
前後の船も無人だ。入口のバンジョーが寂しげに響く沼地を過ぎると、船は奈落に落ちるように闇に吸い込まれた。
洞窟のような通路各所の宝の山に、おどろおどろしく海賊の骸骨が朽ち果てていた。
突然視界がパッと広がると海賊船が港町を砲撃していた。砲音とともにリアルに水柱が上がった。海賊に襲われた港町では、放火略奪、拷問に強姦に殺人と、ありとあらゆる悪が繰り広げられていた。いつもなら、海賊たちの楽しいげな歌声に合わせて、他の乗客と一緒に浮かれるのだが、前後の船を含めそこには私一人しかいない。その孤独感の中で、ここは死を疑似体験する場所だと強烈に思い知った。そして60代後半の私は、とても遅れて子供から大人になった気がした。

とは言え、今でもカリブの海賊は大好きだ。ただし、好きの意味が昔と微妙に違う。ディズニーランドは子供にも、死は命を輝かせてくれるための大切な出来事だと教えてくれる場所だと思っている。

メッセージを伝えるのは人の死だけではない。ペットの死でも粘菌の死でも舞い落ちる枯葉でもメッセージは発信される。それは生き物でないロボットや車やなどの物の死でも同じだ。2010年6月のはやぶさ帰還時、地上へ一直線に向かう回収カプセルの小さな光跡の傍で燃え尽きた母船の姿に胸が熱くなった。それも死者からの素晴らしいメッセージの一つだ。

現代社会で死生観が曖昧になったのは、あたかも死が自分には関係ないように社会が遠ざけてしまったからだ。絵描きは眩しい光を描くとき、影で表現する。影を描かないと、どんなに明るい絵の具を厚塗りしても画面は光り輝かない。同様に日常生活で死を曖昧にしていては生は光を失ってしまう。ディズニーランドは光と闇で構成され、闇である死によって生が光り輝く場所だ。


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一昨日日曜。対岸河口方面の河岸での催し物。


NHK「プロフェッショナル仕事の流儀・世界が驚いたロボット開発者スペシャル」を見ながら進化する仕事の現場について考えていた。それはアマゾンがしかけた商品の「棚への積み下ろし」のためのロボットの国際大会だ。アマゾンは大量の人手に頼っているその部門を完全自動化したいと考えて、その大会を催した。

結果は日本チームは上位に食い込めなかったが、実用化の評価はトップだった。外国チームは、点数を稼ぐのは巧かったが、荒っぽくて実用化には程遠かった。対して日本チームは肝心のところで商品を落としたりして大減点された。しかし専門家たちには、ロボットアームの商品の扱いが丁寧で繊細で美しいと高評価を得た。

それはそれとして、このロボットが実用化すれば、商品仕分けのプロたちは失業することになる。
昔、商品管理がパソコンでできるようになった時にも同じことが起きた。台東区などの道具やパーツの問屋には数万種の商品を頭に入れている大ベテランがいた。彼らに道具や部品名を言うとたちどころに探し出してくれた。しかし、商品管理がパソコン化されてからは、彼らは普通の店員に配置換えさせられた。


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寒くなってやってきたセグロセキレイと荒川土手下を歩く人。


以前、英オックスフォード大学のオズボーン准教授はこれから10年以内に、AIの進化で仕事の半分が失われると発表した。それについて、最近、オズボーン准教授は仕事が失われても新たな仕事が創出されるので、仕事は減らないと補足した。

しかし、創出された仕事が魅力的だとは限らない。
これまでも生産現場の自動化で、多くの技術者が営業へ配置転換された。中には技能オリンピックで金メタルを取った国宝的な技術者が全く関係ない事務職に無理やり配置転換されたケースもあった。
配置転換で見かけ上の失業率は変わらないが、不得意な営業に回された技術職の多くは退職し、一部は韓国、中国へ転職して結果的に日本は苦境に立たされた。


私は昔、彫金職人をしていた。
大変に恵まれた職業で、同じ技術で宝飾品作りをすれば、月10日労働で同年代サラリーマンの3倍は稼げた。その頃、取引先の社長に香港製の宝飾品を見せられた。仕事は荒く下手だったが、ファックス発注で2日後に航空便で完成品が届き、工賃は日本の2割以下だと社長は話していた。

その後にバブルが始まり、香港製の粗雑な宝飾品は土地成金たちに飛ぶように売れた。その頃は業界全体が大沸騰していて宝飾品業界は全く影響を受けなかった。しかし、私は先を読み、景気が良いうちに彫金を辞め、イラスト、デザイン、絵描きへと転職した。

間もなくバブルは弾けて宝飾品業界は凋落し職人の多くが失業した。彼らは慣れない低賃金のタクシー運転手、ビル清掃、倉庫番などに転職した。見かけ上の失業率は変わらなかったが実態は惨めだった。

オズボーンの補正報告もそれと同じだ。
彼はAI化が進んでもサービス業などの需要が増えるから影響はないと言っているが、事務系サラリーマンたちがウエイターに簡単に転職できるとは思えない。腹の出た熟年サラリーマンがウエイターをやっている姿はもの哀しい。


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新河岸川河岸の旧居。
見上げると、まだ母が生きているように錯覚する。


豊洲だけでなく、オリンピック施設問題も停滞気味だ。
ワイドショーに選手が出て、立派な競技場を作って欲しいと言っているのは不自然だ。アスリートたちが実際に競技するグランドやプールに完璧さを求めるのは理解できる。しかし、彼らが箱物を立派にして欲しいと望んでいるのは極めて不自然だ。観客席が安い仮設であっても競技には関係ないはずだ。

今回の小池都知事の指摘で、建設費が100億単位で減っている。もし、減額できた100億を選手強化費に使えば、10年間に渡って、1000人の選手が100万づつ分配を受けられる。日本のアマチュア選手は外国と比べ、とても厳しい生活の中で努力している。それなのに、選手たちが箱物に金をかけることがアスリートファーストだと主張することに偽りを感じる。背後の利権屋たちが彼らに無理に言わせているのだろう。


土曜は在宅看取りについての集まりに出席したあと、渋谷にハロウィーンを見に行った。ピコ太郎の仮装を見たかったが、時間帯のせいか一人もいなかった。驚いたのは、スクランブル交差点の周囲でスマホを構えている外国人観光客の多さだ。

仮装した女の子たちは声をかけられるのを待っているので、片っ端から声をかけて仲良くなった。このフレンドリーな雰囲気で声をかけられない子は可哀想なくらだ。目立った仮装では、水兵服にタイトな黒革のミニスカートの長身の美少年。多分、ヴィスコンティの耽美的な映画「ベニスに死す」を意識しているのかもしれない。人混みを自転車で行く模造ライフルを背にしたSWAT仮装の外国人は、米国だったら射殺されるかもしれない。

8時前に帰路に着いた。本当に渋谷が面白くなったのはそれ以降だったと、帰宅後のニュースで知った。


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«今、アドラー心理学を使った「ほめない」「叱らない」子育て論が流行っている。・16年10月26日