老いを受け入れる心と、冬を迎える心は似ている。 2003年4月14日
今日は母のペインクリニックの日なので散歩はない。昼まで絵を描き、午後から銀行で金をおろして歯の治療へ行った。抜いた歯の跡に一本義歯が入る。通常はブリッジにするが、後の展開を考えて義歯にした。しかし、バネで留まる義歯は装着感が悪い。目立つ場所ではないので食事の時だけ装着することにした。
歯科医院は自然公園の近くである。歯科医院からの帰り路、午後の自然公園へ回ってみた。
公園は朝より静かである。昨日の異常な暖かさは消え、程良い春の冷気が心地よい。
坂道を上っていると、木の枝から数羽のスズメがチチチと鳴いた。どうやら、いつも餌をやるスズメのようだ。背中のリュックにはいつも小鳥の餌が入っている。撒くと喜んで群がった。スズメ達はいつもと服装が違っているのに私を分かっている。小さいのに利口なものだ。
帰ってから母にそのことを話すと、とても喜んでいた。野性のスズメは2,3年しか生きないそうだが、その短い一生の間に色々のことを覚えるのだろう。
赤羽の桜はボタンとしだれに変わった。しかし、私はソメイヨシノがいい。そして更に、山桜がいい。すっかり新緑に変わってしまった風景を見ていると、更に更に冬の深とした静かさがいい。年を取ると、あの静かさが心に染み入る。それは母も同様で、最近、冬の静けさをしきりに懐かしがる。
老いを受け入れる心と冬を迎える心は似ている。冬の向こうには春がある。老いにも良い事があるのだろう。
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