れれれのおじさんのフンガイ。 2003年2月3日
赤塚不二夫の漫画は好きだ。
ご馳走の場面では、決まってテーブルにバナナと骨付き肉が並べられる。あれは我々世代が共有する、戦後から昭和30年辺りまでの金持ちの食卓のイメージである。
今はバナナは安価な果物の代表であるが、戦後暫くは大変高価だった。1本が今の貨幣価値で2000円程した時代もあった。その頃、父が闇市からバナナを買ってきたことがある。大家族だったので、兄姉たちとみんなで一人半分づつに分けて食べた。あの時の香りの高さと美味しさは今も忘れられない。今、秋絵戦直後ほどに高価な果物だったら珍重される美味しい果物なのだが、安物として馬鹿にされているのは残念だ。
蛇足だが、熱帯の果物は何となくエロチックである。以前、パッケージ用イラストのために、バナナとパイナップルを描いた。しかし、描けば描く程に動物的になって、幾度もクレームが付いた。
もーれつあ太郎の八百屋も良かった。
店の前の街路灯はお皿みたいなアルミの傘が付いた裸電球で、茶の間に丸いちゃぶ台があって、夜は雨戸を閉めたりした。あの家庭を見ていると気持ちが温かくなる。
最近は殆どアルミサッシになって、雨戸を閉めることがなくなってしまった。
れれれのおじさんのように家の前を掃除している人も見かけない。
と考えていると、まだ近所に一人だけ居たことを思い出した。70歳半ばで、寒い今は丹前からラクダの下着を覗かせ、足袋に下駄で掃除をしている。いつも頭を青々と刈り上げ、見るからに生真面目な老人である。
最近その家の塀に張り紙がしてあった。
「ネコ、イヌの糞害禁止。当家主人は非常に憤慨している」
あの謹厳実直の老人が意図して駄洒落を書くとは思えない。
しかし、張り紙を読むと笑ってしまう。
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