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2006年9月21日 (木)

タレント年鑑と美術年鑑    2003年3月26日

役者の古尾谷氏の自殺を報じていた。良い役者だと思っていたので残念。遺書はなく原因は不明。仕事が減り気味で先行きを悩んでいたのではとレポーターが言っていた。

役者の世界は厳しい。
まだバブルで景気の良い頃、私は劇団七曜日の宣伝美術をしていた。その頃、劇団所属のプロダクションを訪ねるとタレント年鑑があった。暇つぶしに開いていると、マネージャーが「その中で役者専業で普通に食える役者はどのくらいいるか知っている。」と聞いた。
年鑑は電話帳程の厚みがある。見当もつかず考えていると、彼はページを薄くつまんでこれくらいのものだと言った。ざっと数えてみると100人くらいのものだ。残りの役者は副業で食べていると彼は話した。絵描きも専業ではなかなか生活出来ない世界なので、彼の話す意味がとてもよく理解出来た。役者も絵描き同様に、厳しい世界だと思った。

同じ頃、伸び盛りの芸人さんが辞めた。CMやバラエティの出演頻度が増え始め、将来を期待した矢先だったので驚いた。マネージャーに聞くと、彼は郵便配達の資格試験の受験準備中だと言う。彼は30代半ば、役者も芸人も将来に迷う時期である。私は惜しいと思ったが、彼は家庭のことを熟考した末の決断だったのだろう。

他に、魅力的だがどうしても芽が出ない女優さんがいた。マネージャーと飲みながらそのことを聞くと、活躍している女優Kと比較して話してくれた。
「あの子は性格がいいから芸能界では無理だな。でもKは性格が悪いから伸びるよ。」確かに、お嬢さん育ちの性格の良さは芸能界向きではないと思った。彼の言葉は極論だが、意地悪なくらいの激しさがないとこの世界では生き残れないようだ。

郵便配達を目指した芸人さんが今どうしているかは分からない。しかし、誠実な彼の人柄なら、今は幸せに暮らしているだろう。女優さんは結婚して、夫の赴任地デトロイトで幸せな生活をしている。そう言えば今月第二子が生まれると言っていた。
今になって、私は二人の選択は正しかつたと思っている。
 
作家もよく自殺する。役者と違うのは、売れないからではなく作品に行き詰まってである。対して、絵描きは打たれ強く、自殺する者は殆どいない。私も絵なんかに命をかけるものではないと思っている。

絵描きにも年鑑がある。電話帳ほどの厚さで、殆どの作家は出版社に掲載料を支払って自己申告で掲載される。以前、地方のデパートで作品展をした時、私が美術年鑑に載っていないから買わないと言った客がいた。東京ではあり得ない理由だが、地方ではまだ美術年鑑に権威があるようだ。美術年鑑もタレント年鑑同様、食える画家は数枚分だけである。

タレント年鑑関連--次の、「桜の花の満開の下にて。2003年3月28日」にも記述。

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