祖母はアウトローであった 2003年5月2日
昨日は母方の祖母の命日であった。30年前のその日は爽やかな晴天でツツジが満開だった。祖母は明治の女にもかかわらず、料理、裁縫、洗濯と女がすべきことが総てできなかった。考え方もアウトローの自由人で、私が世間の風潮に逆らうように生きてきたのは祖母の影響が大きい。
母は料理も裁縫も好きであるが、それは祖父に教わったものだ。私の曾祖父にあたるその人は、西南の役で西郷さんに従い鹿児島の城山まで行った程に血の気は多かった。しかし、母の知るその人は料理好きの好々爺そのものだったようだ。
祖母から私が教わったことは、花札と山中で魔物に出会った時唱える呪文である。子供の頃、遠くへ遊びに行っての帰り、寂しい道で「アブラウンケンソアカ」と何度も唱えながら駆け帰ったことが懐かしい。
祖母の遺骨は紅型の風呂敷に包んで、郷里久留米の寺に納めた。
祖母自身は質素な人であったが度を過ぎた世話好きで、頼まれると保証人でも何でも引き受けてしまった。おかげで昭和初期に、今の貨幣価値で10億ほどの債務を抱えてしまった。
二十歳になったばかりの母は、債務者を一同に集め
「一割の金で承服願いたい。もし、承服できなければ一円も払わない。」と啖呵を切って債務を帳消しにしてしまった。
祖母の世話好きはそれで終わらず、晩年まで母の苦労は絶えなかった。
しかし救いは、今でも祖母の知り合いから四季折々に仏前への供物が律儀に送られて来ることである。
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