踏みつけられたアザミ 2003年6月11日
先日、自然公園で花が咲くのを楽しみにしていたアザミが根元から踏みつけられていた。ねらい打ちされた所を見ると、歩道近く生えたのザミの棘が気に入らなかったのかもしれない。
しかしすぐに、踏みつけらたアザミは逞しく立ち上がり花が開き始めた。だが今日行くと、根元から切り取られ傍らに捨ててあった。やり口はどう見ても子供の仕業ではない。母はひどいことをと怒っていた。
自然公園では人間の不寛容さが目に付く。踏みつけられたり折られたりする草木はアザミだけではない。春は僅かに芽を出した野草を採りにおばさん達が大挙押し寄せる。そして、おばさん達は食べきれない程の野草を買い物袋一杯に詰め込んで意気揚々と帰って行く。
収奪すればあっという間に消滅してしまう都会の中の小さな自然である。
始めの頃は見かけると注意していたが、「何が悪い」とくってかかられた。そのように不愉快な思いをすると母の健康に響くので、最近は見ないようにしている。人間はつくづく残酷な存在である。自然の中での不愉快の原因は常に人間にある。
救いは、どのように踏みにじられても生き返る植物の生命力である。この寡黙な力強さには敬服する。アザミが人の手の届かない場所に、再び芽生えてくれることを願っている。
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