雨上がりの自然 2003年6月15日
がん宣告されたことが重く心に残っていた。母を散歩に連れ出し車椅子を押していると少し気持ちが和んだ。
散歩途中の商店の軒下で、つがいのツバメが飛び回っていた。先日まで、軒下の電灯に作りかけの巣があったが無くなっている。店主が完成前に取り除いたのだろう。つがいはすぐに諦めて飛び去って行った。母は「家を無くして可哀想に。」と呟いた。しかし、野生はいさぎよいものだ。彼らはもっと安全な場所に、めげずに再び巣作りをするだろう。
緑道公園で子供達が蛇を見つけて大騒ぎしていた。草むらを見ると、青黒い胴体が移動して行く。子供達は逃げた蛇を探しながら「蛇がいた、蛇がいた」とリズムをつけて大合唱を始めた。多分青大将だと思う。公園は私の旧居があった赤羽台近くである。周りは崖地で伐採されない自然林が多く残っている。その中で、かろうじて青大将が生き残っていたようだ。
昔、旧居の古い物置に3メートル程の青大将が住んでいた。時々、物置の引き戸を開けると鱗を青光りさせてゆっくり逃げて行くのを目撃した。その青大将が日中、道の真ん中で脱皮を始めたことがある。人に見つかったら蛇は傷つけられるかもしれない。私は皮をそっと引っ張って脱皮を手伝った。頭から尻尾まで完全に脱げた抜け殻は持ち帰った。ヘビの抜け殻は商売繁盛のお守りになる。それで今も、樟脳と一緒に桐の箱に大切にしまってある。今は青大将が住める古い家は殆ど消えて、総て絶滅したと思っていた。だから、子供達の発見はとても嬉しかった。
自然公園に着くと同時に、にわか雨が来た。管理棟の軒先に母の車椅子を置いて、私は折り畳み傘を広げ桜の下で雨宿りした。気持ちの良い雨である。雨は涼しさを残して直ぐに通り過ぎた。目の前の草原のクローバーにガラス玉のような水玉がキラキラ光っていた。母のガンのことで滅入ることが多かったが、雨に濡れた自然を見ていると清々しい気分になった。自然は確実に人の心を癒してくれるようだ。
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