10年後の自然を夢見た 2004年1月29日
早く目覚めたので、二度寝をした。その時、死んだり失踪した知人たちの夢を見た。みんな20歳くらいと若い。場所は木造の教室で、皆楽しそうに話していた。目の前に死んだ友人がいたので「お前、生きていたのか」とに話しかけると、友人は黙って笑っていた。部屋には他にも昔の友達が沢山いた。皆は昔の事を話していたが内容は覚えていない。ただ、目覚めても、せつなさが残った。
今日は雲一つない空だった。赤羽自然観察公園へ母の車椅子を押して行くと汗ばんでしまった。公園の石畳の日溜まりで、母に簡単な運動をさせた。その間、私は石畳にリュックを座布団代わりに敷いて座り、運動の回数を数える母の声を聞いていた。
ふと、10年後の自然公園を想像した。目の前に細いケヤキの幼木があるが、10年後は見上げるように成長して、真夏には涼しい木陰を作ってくれるだろう。その頃は、母を含め散歩に来ている老人の大半は逝ってしまっていない。もしかすると、私は入れ替わった老人達の一員に加わっているかもしれない。
だが、ケヤキが巨木に生長した30年後となると、私が生きている自信はない。
母の体操が終わるのを待ちながら、映画の早回しのように未来の幻覚を見ていた。
すでにウグイスカグラはピンクの蕾をつけて、開花しそうな気配である。歩道のあちこちで、老人達は立ち止まり「随分、暖かくなりましたね」と挨拶を交わしている。華やかなことだけが生きていることではない。この静かな穏やかさに、生きている素晴らしさを感じる。
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