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2006年10月15日 (日)

帰り道を変えれば運命も変わる。2003年11月16日

昨日は駒込病院からの帰りの道を変えた。そのようなささやかなことが運命を変える。アマゾンの蝶が羽ばたくとゴビの砂漠に砂嵐が起こるとのたとえがある。これは科学的な因果関係を言ったもので、迷信ではない。詳細なデーターを究極のスパーコンピューターに打ち込み調べると、ゴビの砂漠の嵐の要因の一つにアマゾンの蝶の羽ばたきが加わっていたりするのである。だから、私が帰り道を帰る程のことでも未来が大きく変わる。

以前も書いたが、私の甥は20代半ばに列車事故で死んだ。その日彼は大宮に飲み屋を開店した知人を友人達と訪ねた。その帰り、大宮駅で上りを待っていると反対ホームを上り貨物列車が過ぎた。彼は衝動的に、友人達へ先へ帰ると言い残し貨車の側面に飛び付いた。泥酔していた彼はそれからすぐに、大宮と与野の中間あたりで振り落とされ即死した。

その事故の半年前、彼はドイツ人留学生の恋人と私の個展へ来た。彼等は終わりまでいたので、有楽町ガード下の焼鳥屋にでも誘おうかと思った。しかし、若者達の邪魔をするのは野暮と思い、そのまま別れた。

もしその時、私が彼等を誘ったら、飲みながら甥に人生について語ったと思う。そして、私の言葉は甥の心に残り、大宮駅のホームで衝動的に貨車に飛び付くようなことはしなかったかもしれない。
それ以上に確実なのは、私と飲むことで時間全体の流れが変わり、甥は大宮駅のホームで貨物列車と出会わなかったことだ。

現在は、無数の過去の積み重ねで出来ている。私が絵描きの職業を選んだのも偶然ではない。絵描きは絵が好きとか、才能があると言った程度のことで選べる職業ではない。野垂れ死に覚悟がないと踏み込めない。だが私には踏み込ませるだけの出来事が無数にあった。

そのようにして、私は少しでも運命を変えたいと帰り道を変えたのである。そして、運命は必ず変わると信じている。

関連記事--- 甥の命日に寛永寺墓地へ 2003年7月19日
http://m4s.cocolog-nifty.com/blog/2006/10/2003719_9ed1.html

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