続ヒイラギ 2003年11月19日
30年前、赤羽台団地の商店街で大売り出しの景品で貰った鉢植えが今もベランダで育っている。貰った時は10センチ程のスズランの葉を大きくしたような観葉植物で、「幸せの木」と名札が点けられていた。正式な名は知らないが、その名前が気に入って大切にしている。
「幸せの木」を10年程育てて50センチ程に成長した頃、根元に豆の芽のような小さな双葉が顔を出した。何だろうと観察していたが双葉は少しも成長せず、そのまま3年が過ぎた。そして4年目、双葉の間から小さな葉が伸びてきてヒイラギと分かった。
幸せの木の根元で、ヒイラギは更に10年近く殆ど成長が止まっていた。そして10年を過ぎた辺りから急に成長を始め、あっという間に幸せの木を追い抜いてしまった。しかし不思議なことに、最初の双葉は枯れることなく15年頃まで太くなった幹に残っていた。
それから数年後、日当たりの良い今の住まいに引っ越した。鉢はベランダに置かれ、ヒイラギは更に元気よく生長して、絶えず剪定しなければならないほどだった。
異変が起きたのは、下の環状八号線が完成して交通量が増えた頃からである。まず去年、ベランダで1メートル程に元気良く成長していたゴールデンクエストが枯れた。そして同時に、ヒイラギの葉が変色し始めた。
今年に入ると更に弱り、毎日、掌一杯の葉が床に落ちていた。原因は環八からの排気ガスの影響だと思う。住まいは13階で私達には空気が汚れた実感はないが、植物はデリケートに影響を受けたようだ。
ヒイラギは弱りながら花を咲かせ紫色の実を付けた。それは個体が弱った時、子孫を残そうとする自然の摂理だと思う。私は子供を残して枯れて行くヒイラギが哀れになった。
毎朝、ベランダに落葉したヒイラギの葉を片手一杯拾い集める。本来ヒイラギの葉は長く枝に付いたままで何年も落ちることは無い。特に、実生の私のヒイラギは芽生えた時の双葉が10年以上太い根元の幹に付いたままだった。だから、若い葉が1年もたずに落ちるのは異常である。
ヒイラギは一つの枝から総て葉が無くなるとその枝は切り落とすことにしている。そうしないと、無理に新芽を出そうとして体力を消耗してしまう。しかし、ヒイラギは枝を切られたくないのか最後に残った1枚の葉はなかなか落とさない。
今年の春は沢山の花が咲き、夏には5,6個の実が熟した。自分の最期を予感して子孫を残そうとしたのだろう。ヒイラギにも意思があるようだ。実は摘んでヒイラギの隣の植木鉢に埋めた。子供が芽生えるまで枯れずにいてくれたら良いが、それは無理だろう。
毎年、節分には枝を切り鰯の頭に刺して魔よけにしていいた。まだ枝振りの良い枝が数本残っているので、今の内に来年用を取って置こうかと思ったが、止めた。
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