母が元気な内に 絵本を描き上げた。 2003年11月25日
母の肝臓ガンが判明してから絵本を描き始めた。出版の予定は無い。ただ今の心情を絵として残そうと描いている。題名は「風の音」。昨日は徹夜で、仕上げた。
今日は雨である。仕上げた原画が濡れないようにリュックにパッキングして背負って、入院中の母に見せようと駒込病院へ持って行った。母を談話室へ連れて行って、紙芝居のように原画を見せると母はとても喜んでいた。
夕暮れ、帰る頃は雨は止んでいた。帰宅してすぐ洗濯を済ませた。ベランダに干し終えてから、しばらく眼下の環状8号線を眺めていた。大気が雨に洗われ澄み渡り、遠くまで車列の明かりが美しく見えた。
母の肝臓ガン手術が3日後に決まった。だが手術方法は決まっていない。腫瘍をラジオ波で焼き切るか、開腹して完全に除去するか、外科のスタッフの間でも方法が決まらない。最大の難問は、昔、術後ヘルニアの穴を塞ぐために入れた腹膜を覆う大きなメッシュだ。手術はメッシュを避けて脇腹を切り開くことになる。もし、組織と一体化しているメッシュを傷つけると重篤な感染症を招く。
ラジオ波で焼き切る方法は、母の負担は少ないが腫瘍の完全除去は難しい。何もせずこのまま退院、開腹してみて無理だと分かったら何も出来ずそのまま中止、選択肢は色々ある。スタッフ間で手術前日までもめそうだ。
徹夜で絵本「風の音」を仕上げたのは母が元気な内にどうしても見せたかったからだ。
手術が成功しても、90歳の年齢を思うと予後が心配だ。病院から帰る時、いつもは母と病室でサラリと別れるのだが、最近母は車椅子を杖代わりに押してエレベーターまで見送りに来る。口には出さないが、今回の手術は今までと違うと思っているようだ。なんとか、無事に済んでもう一度自然公園へ連れていきたい。
これから徹夜で原画をスキャンしてプリントする。絵本のサンプルは手術前日に母に見せようと思う。
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