旧荒川河岸段丘下のユリ根 2003年7月25日
母が入院中の駒込病院へは姉が行ってくれるので、私はベランダの片付けをした。照り返し予防に敷いていたよしずが腐っているので、細かく折ってゴミ袋に入れ捨てた。その後には人工芝生を敷く。
その人工芝を買いに日曜大工の店志村ドイトへ出かけた。道は旧荒川の河岸段丘下の一本道で、段丘には豊かに巨木が茂っている。ムクノキも多く、8月には5ミリ程のブドウのようなムクの実が熟す。実の味は羊羹のような食感がして香り高くて美味い。葉は干して胡粉塗りの人形の顔の仕上げに使う。葉表面の珪酸質の細かい突起が紙ヤスリの働きをするので、爪などを磨くと艶やかに光る。
段丘の崖下には、近所の住人が植えた山百合が咲いていた。白に紅がさす大輪で、実に見事だ。
郷里日南の山にもオレンジ色の山百合が無数に咲いていた。子供の頃、大きく成長した山百合を見つけるとユリ根を掘って持ち帰った。母が薄甘く煮てくれたユリ根はほろ苦く、上品な香りがして美味しかった。縄文時代からユリ根は日本人の代表的な食物である。
アイヌの神話でもユリ根の神様が出てくる。抜粋を入れたが、古い記憶なので正確ではない。
・・・ある夜、旅人が泊めてくれと訪ねて来た。見ると、全身かさぶただらけの恐ろしげな人である。主人は断りたかったが、旅人を哀れに思い家に入れた。そして、暖かい囲炉裏の傍に招いた。すると旅人は、お礼をしたいと鍋の湯の上に身を乗り出して、ポロポロと全身のかさぶたを湯の中に落した。家の者は呆然とその様を眺めていた。やがて鍋の中身はクツクツと煮え、美味しそうな香りが漂って来た。主人は我慢しきれくなって、一口食べてみた。するとそれは今まで食べた事もない美味しいユリ根の味だった。旅人は翌朝、忽然といなくなっていた。主人は後で、その旅人がユリ根の神様だった事を知った・・・ユリ根の鱗がかさぶたに似ていることから、発想された昔話だろう。
ドイトで人工芝と一緒に緑色の金網を買った。金網はベランダの柵に張って下の環状八号線からの風を弱めるつもりだ。ベランダに人工芝を敷き、柵に金網を張ると緑一色になって見るからに涼しげになった。梅雨が明けても、これで少しは涼しく過ごせるかもしれない。
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