« 別居と孤独   2003年9月8日 | トップページ | とりあえず、平穏。    2003年9月11日 »

2006年10月 9日 (月)

平穏    2003年9月10日

明11日に、母は駒込病院から一時退院する。外の暑さに慣れる為、母を駒込病院の敷地へ車椅子で連れだした。
病院敷地の自然は自然公園と比べるとささやかであるが、母は病室から解放されて嬉しそうだった。
天祖神社の木立でツクツクホーシが鳴いていた。まだ暑いが、空は高く青く澄み切っていて秋の気配だ。
「外は、身も心も洗われるようね。」母は目を細めて空を見上げた。
この2週間、母の様子を見ていると、病室での回復は無理のようだ。明日からの家での回復にかけよう。

母の肝臓の腫瘍は一ヶ月に倍のペースで大きくなっている。半年後を考えると恐ろしい。しかし母にはまだ症状が出ていないので、いたって元気である。もし何も治療をしなければ確実に母は死ぬ。90の母は健康であっても平均余命5年程なのだから差はないのだが、ガンのもつ重さは息苦しい程だ。せめて、苦しむことなく逝って欲しいと願うだけである。

夕刻、入院で一度返却した車椅子が返されて来た。夕焼けの中で車椅子に安全ベルトとバックミラーを取り付けた。隣のネコのモモちゃんが興味津々とやって来て新しい車椅子の匂いを嗅いで帰った。僅かな期間だが、平穏な日が戻る。

10月初旬に再診察を受け、体力が回復していれば即手術である。母はいたって意気軒昂に肝臓ガン手術の新記録を作ると張り切っていた。

|

« 別居と孤独   2003年9月8日 | トップページ | とりあえず、平穏。    2003年9月11日 »