冬木立を過ぎる優しい風 2004年2月18日
今日も好天であった。
赤羽自然観察公園のミズキの枝は、紅色に色づいて青空に幾何学模様を描いていた。青空に伸びる冬木立は美しい。
母が歩いている間、日溜まりに腰を下ろして冬木立や枯れたススキの原を吹き過ぎる風の音を聞いた。何時からか、私は風の音が好きになった。あの音を聞いていると、先に逝った人達の魂が優しくささやきかけるように聞こえる。母もやがて死ぬ。その時は、風になって私たちの元へ訪れてくれるだろう。
夕刻、隣の奥さんがミカンを持ってきてくれた。ネコのモモちゃんもついて来て、私達の後ろで会話を聞いていた。モモちゃんは見かけは可愛いが16歳と高齢である。人間で言うと90歳程で母と同じくらいだ。だから、奥さんと私の関心は、どちらが長生きするかである。
絵描き仲間から大阪セルベスギャラリーでの作品展の案内が届いていた。
私は阪神大震災とオームサリン事件のあった1995年5月に、大阪セルベスギャラリーで作品展をした。会場のJR大阪のコンコースは、サリンの再発が警戒され厳戒態勢であった。そして隣の神戸市は終戦直後のように焼け野原が広がっていた。その光景は今も、昨日のことのように生々しく思い出す。その作品展は、私にとって以後の生活を決める大切な作品展であった。その時知り合った方には今も時折世話になっている。
景気がバブル時代に匹敵するほど回復しているらしい。しかし、私も、絵描き仲間も、どん底である。景気の良さの形態はすっかり変化してしまった。浮ついた軽薄な浪費が嫌われていることは良いことだが、願わくは文化的支出も増やして貰いたいものだ。
どん底の生活であるがさほど辛くない。その大きな原因は母がやや回復基調だからかもしれない。しかし、母は時限爆弾を抱えている。取り残したガン細胞がいつ頭をもたげてもおかしくない。
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