狸に化かされた母 2004年2月27日
散歩の行きがけ、御諏訪神社の階段を見上げると黒っぽい太った中型犬がいた。
と、一瞬思ったのは見誤りで、それはコロコロ太った狸だった。彼は丸い目をクルクルさせて私を見下ろしている。黒い長毛の地に白っぽいフサフサした下毛が密生していて、上等の毛なみである。母に見せようと急いで車椅子の方向を変えたが、狸は逃げてしまった。母は緑内障で視野が狭くて横のものを見るのが苦手である。方向転換をしながら「ほらほら」と階段上を示したが見えなかったようだ。
狸の噂は聞いていたが、本当だった。階段を急いで登り境内へ入ると、崖の自然林へ向かってを疾走していく黒い毛玉が見えた。
道々、母に狸の事を話したが、それはネコか野良犬の見間違いだろうと信じてくれなかった。今も、私の眼裏にあのフサフサの毛なみがしっかりと残っている。
赤羽自然観察公園から、帰りは駅前の赤羽市場へ寄った。
鳥インフルエンザの影響で肉屋は閑散としていた。対して魚屋は昼前から行列が出来ている。母がイイダコを欲しがるので探したがない。他に適当な品はないので何も買わず出た。
次に、商店街の八百八へ寄った。大ぶりの佐賀のイチゴが400円、大ざる山盛りの里芋が200円、千葉産長ネギ10本の束が100円、フィリピンバナナ一房100円、大ぶりのアメリカ産ブロッコリー2個で150円、菜の花2束300円、リンゴのサンフジ6個で300円。全部買って車椅子のハンドルにぶら下げた。赤羽は生活用品が格安で住みやすい街である。
帰りは緑道公園を抜けた。天気が良く、のどかで気持ちよい。
「せせらぎの水音が聞こえる。」と母は耳を澄ました。しかし、その辺りにせせらぎなどない。茂みの中を見ると老人が立ち小便をしている。どうやら、母は行きがけの狸に騙されたに違いない。
「まるで山の中みたい。清々しいね。」と母は感動しているので、立ち小便だとは言わず黙っておいた。
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