パワフルな老人たち。ホウセンカで指先を染る。2004年8月26日
深夜のオリンピック観戦で疲れ気味である。負け試合は人生に似ている。守りを堅くすると負けたり、期待され過ぎると実力が出なかったり、人生を重ねるとスポーツは奥深い。
過ぎ去って行く夏に一抹の寂しさを覚える。公園の青トカゲたちも冬に備え、せっせと食べて、まるまる太ってきた。目が合うと、コロコロ太った体で慌てて石垣の隙間に逃げ込む姿が可愛い。
昨日、夏の間、赤羽自然観察公園に顔を見せなかったOさんと久しぶりに再会した。彼は70代だが、転落事故で車椅子生活になった。
幼木の多い公園の歩道は日射しに晒されて暑い。それで彼は、夏の間は休むことにしている。再会したOさんは太って青白くなっていた。明るく冗談を言う人だが、声に力が無い。
そして今日は、彼は姿を見せない。昨日の散歩で疲れたのかもしれない。老人が独力で散歩を続けるのは難しい。
8月27日
昨夜、朝食用のご飯を炊くのを忘れていた。何か朝食代わりを探すと冷蔵庫の奥に古いカステラがあった。6月にお中元で貰った残りである。食事代わりには抵抗があるが、豆乳、野菜ジュース、乾しプルーンを加えて朝食にした。
物足りないまま散歩に出たが、母の車椅子を押す力が入らない。赤羽自然観察公園に着く頃には、少し吐き気がも覚えた。古いカステラが悪かったのでと気になる。おまけに、いつも持参するお茶も忘れている。水分補給は必須なので、公園入り口脇の自販機でお茶を2本買おうと硬貨を投入したが、ボトルは途中に引っかかり落ちてこない。
母を待たせているので諦めて行こうとすると、入り口前の東屋に、いつもたむろしている顔見知りの老人達が経緯を見ていて、集まって来た。
自販機が壊れてボトルが取り出せないと話すと、老人達は、自販機をゴトゴトいじり始めた。
「大した額ではないですから、いいですよ。」と遠慮したが老人たちはもったいないと言う。取り出し口に手を入れて取り出そうとするが、奥まで手が入らない。すると老人の一人が木ぎれを持ってきて、中をかき混ぜ始めた。そんな無茶なことをと思ったが、何と2本とも落ちてきた。やってみるものである。
原因は自販機の内張プラスチックが剥がれてそれに引っかかっていた。老人達の発想はパワフルだ。私も工夫する世代だが、彼等はそれ以上だった。老人達は皆、役に立てて嬉しそうに東屋へ戻った。
しかし、帰りはさらに体調が悪くなった。しばらくして、それが低血糖の症状に似ていることに気づき、生協に寄り、ヤクルトを買って3本を飲んでみた。するとすぐに糖分が吸収されて不快感は収まった。やはり、朝食の量が足りず、低血糖を起こしていたようだ。古いカステラの所為ではなく、ホッとした。
帰り道、民家の庭先にホウセンカが咲いていた。母はホウセンカの赤い花を見っけるといつも欲しがる。明礬とホウセンカの花弁を練って爪に貼り付けておくと一晩で赤茶色に染まる。久留米育ちの母は、子どもの頃からその遊びが好きで、年を取った今も、今の季節になると指先を赤く染めて喜んでいる。
母は他所の庭先のを取れというが、私は盗むのは厭なので、道路にはみ出して咲いているのを5片程取った。しかし、イヌのおしっこがかかっているかもしれない。帰宅してから良く洗っておいた。今夜、寝る前に母は爪に塗って床に就くことだろう。
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