厄日なれど可もなく不可もなし。2004年9月2日
昨日は元麻布でNHKのディレクターK氏の作品展初日。
午後6時、急いで母の夕食を済まさせて家を出た。しかし、北赤羽の駅近くの高架下で頭上よりパラパラとハトの糞が落ちてきて白いズボンが汚れてしまった。
「やられた」と見上げるとハトたちが、私を見下ろしている。いつも遊歩道にたむろしているグループである。
先日、母の車椅子を押して通りかかった時、「轢いちゃうぞ」とハトたちを脅したことがあった。母は「可哀想に、意地悪しないで。」とたしなめたが、ハトたちが「平気だよ。」と言った目つきでちょこちょこ避ける様が可笑しかった。
今日、そのハトたちに仕返しをされた訳だ。ティシューで拭いたがシミになって落ちない。仕方がなく、すぐに引き返して履き替えることにした。
ズボンを水洗いして、シャワーを浴びシャツも取り替えた。再度、急いで駅へ着くと各駅停車新宿行きが目の前で出てしまった。次の各駅停車は20分後。通り過ぎる二つの急行を見送りながら、ため息をついてしまった。この分では、着くのは会場が閉まる頃になる。
地下鉄丸の内線池袋駅始発の電車に乗り、後楽園で南北線に乗り換えた。空いた車両の斜め前に35,6才の二人連れがピッタリくっついて座っていた。どう見ても夫婦者ではない。男はずんぐり小太りで、女は長身で口元が悪い。見たところ二人とも小学校教師風。女は地味なタンクトップに悪趣味の銀のネックレス。持ち物も靴も全体のバランスが悪い。男は紙袋からプレゼントらしき小物を取り出しては女に渡そうとする。女は携帯メールに目を落としたまま完全無視。男はヘラヘラ笑いながら次々と品物を取り出しては渡そうとしている。女は顔をしかめて無視。程度の低い痴話喧嘩である。彼等を眺めている内に電車は麻布十番駅に着いた。
商店街を抜けオーストリア大使館前の会場に向かう。この辺りは大使館が多く、通行人は外人だらけで、この雰囲気は好きになれない。8時近く、会場を閉める寸前につくと、作家のK氏が待っていた。
氏はなかなか多才な人である。久しぶりの再会で近況を互いに話した。氏の父上も母同様にガンで、最近緩解したことまで似ている。結局、熟年同士にありがちな病気の話題になってしまった。
K氏は「父は空母は大地」を衛星放送で映像化した時のディレークターである。付き合いはそれ以来で、時折、彼の作品展で再会する。
午後10時過ぎに帰宅した。留守の母は何事も無く、振り返れば可もなく不可もない1日て゜あった。
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