弱者に一番優しいのは同じ弱者。2005年2月27日
散歩から帰ると姉が来ていて、掃除を済ませていてくれた。
埃が少々溜まっていても私も母も気にしないが、綺麗だと心地良い。すぐに、駅前の赤羽市場で買ってきたイカを手早く煮付け、他にホーレンソウのひたしとモズクをテーブルに並べた。久しぶりに3人で摂った昼食はにぎやかで楽しかった。
しかし、独り身の私は、そのようなにぎやかな食事はやがて消え去ることだろう。
みんな次々と過ぎ去り、やがて一人になった・・・のフレーズで終わる戯曲を見たことがある。それで思い出すのは同窓生のYのことだ。
Y夫妻には子どもはなかった。そのYが10数年前、40代の愛妻を病気で亡くした。それから後は大変で、Yは寂しさに耐えきれず、友人知人手当たり次第に電話をしまくり顰蹙を買った。しかし結局、彼は耐えきれずに再婚して騒動は納まった。
私はその選択は選ばない。一人の寂しさは十分知っているが、何とか耐えられると思っている。それは絵描きだからかもしれない。絵描きは元々共同生活が苦手で、伴侶を選んでも破綻することが多い。
先日、スマトラ大津波の現地被災者を見ていた時、家族総てを失った遺族は悲嘆に暮れていたが、絶望していてはいなかった。それはその遺族が村社会の一員で、共同体自体が大きな家族だからかも知れない。その点が先進国の災害と大きく違う所だ。
しかし、意外に大都会の東京でも村共同体に近い人の繋がりが残っている。母を毎日散歩に連れていくようになってから、その繋がりが垣間見えるようになった。
老人は若者に対して目に見えない垣根を作りがちだが、老人同士となると優しい。世間で思われている以上に、老人の世界は心地よい。今日も母の車椅子を押していて、ドアを開けてくれたり、声をかけてくれた老人たちに出会った。弱者に一番優しいのは同じ弱者なのかもしれない。
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