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2006年12月24日 (日)

乾いた砂の甘美な夢。2005年3月9日

シドニーアーティストクラブという怪しげな美術団体からメールが来た。内容はシドニーで日本人アーティストを紹介する作品展をするから参加しないか、と言う親切な申し出である。よく読むと、参加料18万、貴方は優秀だから特別に半額で良いとのこと。直ぐにそのメールは削除した。
絵描きのサイトへ片っ端から送信しているのだろう。貧乏絵描きを騙すのは腹立たしいが、こんな怪しげなものに騙される方も知恵が無さ過ぎる。その団体のサイトを開くと、素人の下手な絵が数点紹介してあった。

今日は暖かく沈丁花が3分咲きである。ウグイスカグラは新芽が出てきた。桜の蕾も日に日に膨らんでいる。可愛かったネコ柳の蕾は毛虫のように大きく成長して、無数の花弁を伸ばし始めた

赤羽自然観察公園の帰り、ご飯に炊き込む、ダッタン蕎麦とアマランサスを買いにイトーヨーカ堂へ寄った。昨日から割引期間で、混み合った買い物客の中を車椅子を進めるのは気苦労である。最近は赤羽駅ガード下のスーパーやホームセンターで何でも揃うのでイトーヨーカ堂へは行かなくなったが、この二つだけはここでしか売っていない。

昨日は母の通所リハビリの日で、母のいない間に映画に行こうと思っていたが、絵に手を入れ始めたら母が帰る時間が来てしまった。それにしても封切りシニア料金1000円は魅力である。そのことを友人に話すと、身分証明書はどうすると聞かれた。そちらは健康保険証を持参するほかないか。幸いにも健康保険証は去年から名刺サイズに変わって持ち歩きしやすい。

映画は私の過去の一部で、私の作品の多くは映画の記憶に発想を得ている。
そう考えていると、ふいに45年前の「ノートルダムのせむし男」主演アンソニー・クインとソファイア・ローレン--を思い出した。最期のシーンは魔女として殺された、ソファイア・ローレンをせむし男が背負って丘の上の廃墟に運び入れ、砂の上へ横たえる。そして、二人は砂になり、その砂上にENDが描かれ終わった。
それは今まで見た中で一番美しい死だと思っている。それ以来、乾いた砂は甘美な死のイメージに繋がるようになった。

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