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2006年12月 7日 (木)

本当の贅沢  2004年12月4日

冬景色になってきた。公園に再建中の古民家の茅葺き屋根の丸みが暖かく見える。
茅葺き屋根を見ると囲炉裏の火を思い出す。昔、休日毎に登山をしていた頃、山里の民家に泊まり、囲炉裏ばたで山菜やキノコ料理を振る舞って貰った。その時の、ランプの光や囲炉裏の暖かさを今も懐かしく思い出す。

時には、電柱程の太い丸太をそのまま囲炉裏で燃している家もあった。丸太の端は部屋をはみ出す程長かったが、主人は上手に、丸太の先端だけをチョロチョロと燃していた。それ程の丸太は1週間は燃せると聞いた。

囲炉裏は暖を取る為だけではなく茅葺きに虫が付かないように薫蒸の意味もある。だから茅葺きの家では、夏でも火は絶やさない。しかし、不思議なことに囲炉裏の火は夏でも熱くなかった。

趣味の一つに焚き火がある。私も火を囲んでいると安らぐ。
以前住んでいた家では、庭に石積みをして落ち葉や枯れ枝を集め、毎日焚き火をした。木の燃える煙は甘い香りがして、ゴミの煙とはまったく違う。特に、今日のような寒い曇りの日の焚き火はとても幸せな気分になった。私の考える究極の贅沢は、都心に山里を再現して、茅葺き屋根の家を建て囲炉裏で火を燃すことだ。

昔読んだSFで似たような話があった。

・・・夕暮れのうらぶれた長屋の一角、遠くに豆腐屋のラッパの音。道端で薄汚れた綿入れ半天の老人が七輪に火をおこしてサンマを焼いている。焼き上がると老人は、薄暗い長屋の一室で、一人黙々と夕食を摂った。
場面は一転して巨大な宇宙船の操縦室。窓の外には広大な星空。
操縦士A「爺さん、また酸素を無駄遣いしちまったようだな。」
操縦士B「仕方がないさ。なにしろ、爺さんがこの宇宙船のオーナーだからな。」・・・

この短編は今も心に残っている。本当の贅沢は高価なブランド品や珍味ではなく、こんなことかもしれない。

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