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2006年12月 8日 (金)

鮨とカリン酒  2004年12月7日

母が目覚ましを壊したので、駅前のホームセンターで時計を買った。
帰りに商店街の八百八に寄るとカリンが安かったので6個買った。それで母のせき止めのカリン酒を漬ける。他に35度の焼酎4リットルとグラニュー糖4キロを買った。

カリン酒は3年物の4リットル入り瓶が2本残っている。母が飲むだけなので暫くはこれで十分だが、来年一杯はもたない。無駄になっても漬けるべきか、迷っていたが、カリンを見つけると衝動的に買ってしまった。親の死期を考えて先のことを迷うのは厭なものだ。

そんなことを考えていたら、昔読んだ随筆を思い出した。
それは作家の父親のことを書いたものだ。
・・・半年の余命を宣告された母親が自宅で寝ている。季節は鮨を漬け込む時期である。鮨と言ってもお寿司ではなく、長期貯蔵できる鮒鮨のたぐいである。母親はその鮨を作るのが得意であった。父親は鮨の材料を買ってきて、寝ている母親を起こして作るように命じた。彼女はふらつきながら台所に立ち鮨作りを始めた。作家は父親の態度を怒り、母親に、すぐに止めて寝ているように言った。しかし、母親は「いいのよ」と作り続けた。
それから数ヶ月後に母親は死んだ。そして、母親の作った鮨が熟成して食べ頃になった。

ある日作家は、父親が独りその鮨をしみじみと食べている姿を目撃した。
その時、作家は気がつかなかった両親の心を理解した。

私のカリン酒漬けとは意味が違うが、ふいにその話を思い出した。

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