青春の残瑛 2005年2月15日
母は下肢の3級の障害者である。
母を通所リハビリに預けている間に、障害者用のタクシー券の申請に出た。
途中、駅裏の暗い通路を歩いていると、床に大量の血痕があった。血痕は靴底で引きずったり、所々、4,5㎝の血の塊になつている。多分、喧嘩の跡である。直ぐ近くに交番があるのに、赤羽もいつの間にか治安が悪くなった。
血痕から少し離れた柱によりかかって、派手なブーツの若い女性が携帯をかけていた。どうやら病院の受診の帰りのようだ。
「・・子宮筋腫は4人に1人らしいの。手術で治るらしいから大丈夫よ・・・」
過ぎて行く私に、病気のことを延々と話す女性の声がいつまでも聞こえていた。
書類提出先の福祉課は赤羽会館の6F。
エレベーターに一緒に乗り込んだ煙草臭いホームレスの男性二人は途中の図書館で降りた。暖房の効いた図書館は彼等の休憩所である。
福祉課の職員に確認してもらいながら申請書類を作成した。3月末に出るタクシー券は、配達して貰うと面倒なので、福祉課に取りに行くことにした。
タクシー券は1年間3万ちょっとである。駒込病院に行かなくなったので、前回は1万ほど余った。もう、駒込まで出かけることはないので、今年分は貰っても殆ど使わない。
ポトポトと鳩歩み行くみみぞれ道 2月16日
みぞれ降る寒い中、散歩へ出た。さすがに赤羽自然観察公園に人はいない。
外気より温かい湧水からは温泉のように湯気がたっていた。枯れ枝に水滴が連なり、水晶の首飾りのように美しい。静かな雨の冬景色を眺めながら飲む熱いお茶は格別に美味い。
作品制作の途中で意欲が失せるようになった。年のせいでパワーダウンしたのかと思ったが、そうではない。最近、絵が分かってきたからのようだ。
私はデフォルメした微妙なゆがみを厳密に計算して表現する。正確なデッサンを前提にする正統派の絵と比べると破綻の多い作風である。その結果、気に入らずに何度も描き直す。絵が分かってきたとは、その破綻の過程が早く分かるようになって、自動的に制作意欲に制動がかかるのである。だから、意欲が失せた時はもう1枚描くことにしている。
今も、1週間、疑問を抱きながら描き続けた絵にサンドペーパーをかけて画面をフラットにした。これから、イメージがひらめいた原初の構図に戻すことにしている。
仕事をしながらペギースーの結婚という映画を昼間見た。41歳の主婦が18歳に戻ると言う、ファンタジーロマンである。
その1シーンで、バトン・トワーラーに扮した高校生のペギースーがグランドに立つ後ろ姿が良かった。すらりと綺麗な足の膝裏がとても良い。昔、そのような女性を夏の軽井沢で見たことがある。そのような光景を一瞬懐かしく思ったが、映画のように当時に戻るのは厭である。
私の青春は挫折だらけで、厭な記憶ばかりだ。たとえ、老いていても、私は今で十分満足している。
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