変わらないもの 2005年4月17日
いよいよ今日から自然公園に移築された古民家が公開である。
玄関を入ると直ぐに広い土間。薄暗がりに大竈と二つのへっつい。その奥に使用人部屋。豪農の住まいの作りである。元々の所在地は我が家下の新河岸川対岸の浮間地区にあった。その名の通り浮間は荒川の氾濫常襲地で、この地域の旧家は1メートル程盛り土をして建てられていた。
以上は事前の予備知識で、完成後の実際の見学を楽しみにしていたが、敷地は式典の来賓用の椅子で埋まり、ぞくぞくと黒服の役人が到着し落ち着かない。おまけに好天気に恵まれ、一般の人出も多く、逃げるように公園を出た。
帰り道の緑道公園は対照的に静か。母の車椅子を止め、ベンチで休むと爽やかな風が心地よく眠気を覚える。目の前の花壇ではパンジー、チューリップ、マーガレットが満開。遠くまでケヤキ、クヌギの柔らかな新緑が続く。自然は私に関係なく同じ変遷を繰り返している。だから、人は辛くても生きていけるのかな、とベンチでぼんやりと考えた。
先日、「幸せの黄色いハンカチ」を見た。30年近く前の名作で、年を取って改めて見ると違った感動を覚える。主演の高倉健は格好良い。脇の武田鉄也の桃井かおりに迫るださい台詞が、若い頃の自分に重なり恥ずかしい。
何よりみんな若く、昔の北海道の風景が懐かしい。上京して何度となく北海道は旅行した。その頃までは夕張炭坑も操業していて街にも活気があったが、今は人口は半減し、廃墟の街になってしまった。夕張出身の人には、映画のシーンは懐かしく切ない風景だろう。
人の世は次々と変遷して行くが、自然は変わらず、何百年も何千年も同じことを繰り返す。それが人にとっての救いなのかもしれない。
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