死者と会話する母 2005年6月22日
昨日は暑い夏至であった。母のリハビリの時間を利用して、渋谷のウエマツに絵の具を買いに行った。ソフトタイプのリキテックス180mlを8本を求める。以前は店頭で、いつでも買えたが、今は事前に注文を出し、メーカーで調合して貰ってから店頭渡しになる。
今はそれだけ絵の具が売れないのである。絵の具の需要は学校教材用が一番多いのだが、少子化の影響をもろに受けている。ソフトタイプは絵描きイラストレーターの需要が大部分だったので、こちらは更に需要が減っている。
イラストはCG制作が増え、エアブラシ制作に使われるソフトタイプの需要は激減した。
先日大掃除をしていたら、未使用のエアブラシ用のノズルが出てきた。価格は1万5千円程だ。制作はノズルの絵の具溜めを洗っては色を入れ替え、イラストボードをマスキングしての作業が煩雑だった。私はエアコンプレッサー等一式を買いそろえていたが、せっかちな性格で殆ど使わずに埃をかぶってしまった。エアブラシのイラストは、今はパソコンで自在に描ける。これでは需要が減るのは仕方がない。
渋谷は久しぶりである。女の子が薄着で可愛くて、お上りさんのようにキョロキョロ歩いた。しかし、ゆっくりはできない。直ぐに母の帰る時間が迫り、急いで帰宅した。
母は最近、寝ていると誰かが肩を叩くと言う。母を死んだ肉親達が呼びに来るらしい。緑道公園で墓地脇を通る時、今日も「お墓さん、今日は」と母は挨拶していた。
母は小声で誰かと話していた。何を話したんだと聞くと、あの世へ行ったら仲良くしようね、と死んだ人たちと話していると言う。でも、私が行ったら、「随分な婆さんになって、やっと来たな。」と、40そこそこで死んだ父に笑われると話した。
死者達を身近に考えることは悪いことではない。それで死への恐怖が和らぐのである。そう考えていると、ふいに、ナヴァホ族の言葉が思い浮かんだ。
・・・人に命を吹き込んだのは風だった。おれたちの口から出てくるのも風で、それはおれたちに命を与えてくれる。風がやむと、おれたちは死ぬ・・・自然は人のようなものだ。竜巻に話しかけてごらん。雷に話しかけてごらん。彼等はみなあなたの友だちで、あなたをまもってくれるだろう・・・
辛い時、インディアンの言葉は心に優しく響く。
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