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2007年1月17日 (水)

子供の消えた街の風景。2005年7月30日

気温はさほど高くないが、湿度が80%近い。この湿気は車椅子を押す身にはきつい。すぐに汗が滝のように吹き出る。特に胴体と顔に汗が集中し、服がびしょびしょに濡れてしまうのが困る。それでも最近は、少しだけ手足の汗が復活してきた。このまま手足の汗腺が元気になってくれると有り難い。若い頃、運動しても今ほど汗をかかなかったのは手足の汗腺のお陰だ。手足の汗は体熱の発散に効率が良いようだ。

古民家の土間では老人達がベーゴマ遊びをしていた。見学のお婆さん達に上手上手と誉められて嬉しそうに張り切っている。昔のTV番組で、近未来のこととして滅びてしまった子供遊びを楽しむ老人達を描いていた。その姿がすでに現実になってしまった。

母は午前中は調子が良いのだが、午後になると腹の張りを訴える。何度も開腹手術をしているので、腸管が癒着が起きているのだろう。他に、重大な原因が無ければ、このまま対症療法でしのぐほかない。内臓は空気に触れると癒着を起こしやすくなる。母の肝臓ガンの手術の時も、執刀医は肝臓の癒着をバリバリと剥がしながら、肝臓を引き出し、腫瘍を取り除いたと話していた。そのように、母は毎週のように新たな問題にぶつかる。次は何が起こるのか分からないが、このモグラ叩きは続けるほかない。

最近、定期的に包丁研ぎの若者が集合住宅入り口に小さな店を出す。先日も木影の風通しが良い場所に砥石を置き黙々と包丁を研いでいた。若者と言っても40少し前くらいである。体格の良い頑強そうな人で他に効率の良い仕事を見つけられそうだが、無口な彼には、この仕事が合っているのかもしれない。

私が子供の頃はそのような職人さんが沢山いて、いつもどこかの街角に店を開き、小さな商いをしていた。鍋の穴を修理する鋳掛け屋。ゴム長の修理屋。高下駄の歯替え屋。煙管の竹の部分を掃除したり取り替えたりするラオ屋。どれも子供達にとっては楽しいショーのようなもので、職人さんの回りはいつも子供たちがたかっていた。
しかし、現代の、包丁研ぎの若者の回りには、人だかりなどない。孤独だが、静かな仕事である。老人達のベーゴマ回しと言い、街の風景から子供たちの姿がなくなってしまった。

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