僅かな年金で迎える老後。2005年9月24日
午前中は曇りの予報だったが、時折パラパラと雨が落ちた。今年の夏は雨は夜に降ることが多く、雨具の世話にならず助かった。暑い頃の雨具は、蒸れて汗をかき、むしろ、雨具無しの方が快適である。しかし、今日は涼しい雨なので、ビニールコートで蒸れず助かった。
濡れた公園は秋色が冴えて美しい。黄色みががった草むらの各所に彼岸花の紅が鮮やかに映える。近づく台風を予感しているのか、スズメ達はいつもより熱心に餌をねだった。足元まで近づいて私を見上げながら餌をねだる幼鳥達が可愛い。
帰る頃、雨は強くなった。早く帰りたいので、住宅地の中を近道した。近道の風景は少し見ない内に空き地が増えていた。空き地の一つに以前は古いアパートがあった。二階の角部屋に髪も髭もぼうぼうの異様な風体の若者が住んでいて、いつも大音量で音楽をならしていた。今思うと、あれは住人を追い出す為に雇われた者だったようだ。しかし、今時、無理に更地にしても良い値では売れない。駐車場に変えても借り手は少ない。バブルの頃、このような土地余りの時代が来るとは誰も予想していなかっただろう。統計では現在日本の住宅の9軒に1軒は空き家である。空き家率は年々高まり、10年後は7軒に1軒の予測が出ている。
人が少なくなって、街が静かになることは悪くはないと思っている。最近、静かさが心地よくなった。昨夕、テレビで定年後、田舎で暮らす同年輩の人達のことを取り上げていた。脱都会の彼等も私と同じことを話していた。しかし、東京が静かになって行く現実を見ていると、田舎へ行く必要はなさそうだ。
私は元々雑然とした都会風景が好きなのでなおさら離れたくない。都会の人間関係に疲れて田舎に行くとすれば、それは間違っている。田舎の人情味に幻想を抱いて脱都会をして、再び東京へ戻ってくる人は意外に多い。田舎は人同士が助け合う反面、それに伴う義務も多く人間関係は煩雑である。
帰宅すると鍵が開いていて姉が来ていた。姉は原宿の店を止め、池袋に再就職したことを報告した。今の店は悪くはないが、重い什器を持つことが多く腱鞘炎をおこしてしまったようだ。幸いにも景気が好転していて、姉の転職も直ぐに決まった。年金が殆ど無い我々は死ぬまで働き続ける他ない。姉も私も働き続けることが好きである。
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