グルグル回るホームレスの一生 2005年5月23日
爽やかな日射し。白の夏シャツ、白のジーンズの夏姿にした。
「白づくめだね、」と母は言う。悪のりして死に装束だ、と言いかけて「巡礼姿だ。」と言い直した。暑い日の夏姿は心地よい。
緑道公園では、いつも出合うホームレスたちが酒盛りしていた。
「あの時、先々の事を考えていたら、こうはならなかったのに。」と一人が愚痴り始めた。すると、他の一人が「今更言って何になる。」と説教を始めた。
これは毎度聞く、同じパターンだ。彼等の会話はいつも一点を中心としてグルグル回っているばかりで、外へ広がらない。彼らはそうやって老いて、一生が終わるのだろう。
自然公園では、昨日まで雛を探して鳴いていたカルガモはいなくなっていた。可哀想だが、声が聞こえなくてほっとした。危険を学習して安全に子育てしてくれることを願う。
古民家には小さな女の子を連れた若い父親が来ていた。
父親は自然公園の運営メンバーのようだ。私はいつものように母を土間に置いて、座敷で寝ころび、爽やかな新緑の風景を眺めていた。
背後の縁側から親子の会話が聞こえる。親子は濡れ縁の拭き掃除を始めた様子だ。
「雑巾がけをすると、まっくろくろすけが引っ越すんだよね」女の子は雑巾がけをしながら"となりのトトロ"のことを話していた。
「そんなに頑張ると、体が痛くなっちゃうよ」父親は優しくたしなめた。
「平気だよ」と、女の子はかいがいしく土間の台所へ水くみに行った。
「トトロ」の小さな女の子メイと、「千と千尋の神隠し」の千尋に自分を重ねているようだ。
縁側からそよ風が抜ける。親子の会話を心地よく聞きながら、私は一瞬、眠ってしまった。
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