自然は子供たちを子供らしくする 2005年7月11日
今日は日射しが強く暑い。
昨夜、苦しそうだった母の体調はいつもと変わらず安心した。
自然公園には、小学校低学年の団体が来ていた。引率の20代の先生はとても可愛いく、原宿辺りを歩いている女の子と変わらない。
子供達は池でザリガニ釣りに夢中だった。私達が到着した時、丁度帰る時間が来たようで、子供たちに集合の声がかかった。子供たちはよほど楽しかったらしく不満たらたらである。中には、帰りたくないと泣き出す女の子もいた。
物に溢れた中で暮らしている子供たちが、ただ自然があるだけの何もない公園でこんなに喜ぶとは不思議で、自然を愛する私には嬉しいことだ。
時折、自然公園に来た大人の中に、滑り台やブランコがない、自然が放置されていて芝生がない、と不満を漏らす者がいる。しかし、そのようなありふれた公園には、現実には子供たちもくつろぐ大人もいない。いるとすれば、不良グループくらいのものだ。私の記憶でも、公園のトイレ裏は格好の喝上げの場所だった。
しかし、自然公園に不良は似合わない。たまに、それらしき者がいるが、一様に穏やかな表情で歩いている。自然は、人の心を穏やかにする力があるようだ。
子供達は整列して、渋々帰り始めた。殆どは成果が無く、空のバケツを下げていたが、中には意気揚々とザリガニを誇示して歩く者もいた。彼等にはどんな高価な玩具より素晴らしい獲物なのである。釣り落とした子供は、網があったら巧く採れたのにと先生に不満を訴えていた。久しぶりに、素晴らしい子供たちの風景を見た気がした。
いつもの椎の大木の下で休んだ。先客のNさん達がいた。そこは四方から風が抜け、暑い日は心地よい。Nさん達は母と気が合う人達で、母は楽しそうに雑談をしていた。
話の流れで、株のことに話題が移った。Nさんは裕福で、赤羽周辺に幾つも家作を持っている。株の話になると突然、Nさんの目が鋭くなった。どうやら、かなりやっていた人のようだ。いつも温厚で律儀な人だが、ほんの少し違う一面を見た気がした。
自然公園に来ている老人達の殆どは、穏やかな人生を送ってきた訳ではない。80代の男の大部分は戦地へ出征して戦った。そして戦後の混乱期を経て、今の日本の繁栄を作り上げた。見かけの穏やかさは、生半可なことで作られたものではない。
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