顔が見える営業 2005年7月4日
最近、営業を始めた。と言っても売り絵ではなく出版関係へである。
絵本の売り込みは間断なく続けていたが、こちらは少子化による不況業種で成果はあげられなかった。
営業と言っても私は介護生活の身で、昔のようにアポイントを取って先方へ出向くことは出来ない。せいぜい、プリントした資料を勝手に送りつけるだけだ。
本当は、直に担当者に会う方が結果は何倍も良い。相手は人間なので、会って少しでも話をすると、記憶してもらえ仕事が成立したりする。
今回は送付資料に顔写真を入れることにした。
就職の履歴書に顔写真を要求する会社が多い。可愛い子を物色したい人事課のエロ親父の欲望だと反感をもつ人がいるが、それなりに理由がある。
顔は素晴らしい情報源で、生き方や性格と色々分かる。エネルギッシュな顔は信頼感があるし、繊細な優しい顔はデリケートな仕事を巧くこなしそうに見える。実際はそうでなくても、顔があると採用不採用の最後の判断に役立つ。
仕事では宣伝や営業は本当に大切である。
「才能があるのに、何故、世間は評価をしないのか」と不満を漏らす作家は多い。しかし、認められない本当の理由は宣伝しないからである。
世の中には異常に宣伝上手の絵描きがいる。
昔、私の作品展に来たAは、私がコレクターと商談していると横から割り込んで、私に対し横柄な話し方をして自分の方が偉いぞと見せつけていた。
二人きりの時は、とてもへりくだった如才ない男だったので、その豹変ぶりに驚いた。その後、色々な美術雑誌にAが登場しているのを見て、成る程と、Aの生き方が理解できた。
しかし、Aは例外で、私を含め絵描きの大半はそんなことは絶対にしない。
大半は辛抱強く、誰かが認めてくれるのを待っている。何かするとしても、精々公募展で大賞を狙うくらいだ。もっとも、賞くらいでは知名度は上がらない。せいぜい、履歴書の箔付けになる程度だ。
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