絵描きの侘しい世界と秋日射しの自然公園。2005年10月24日
自然公園の帰り駅前へ出た。街は日曜で賑わっている。車椅子の母は前を行く流行のへそ出しルックを見て「尻が見える」と驚いていた。と言っても尻は見えない。背中の骨盤辺りが少し見えるだけだ。しかし、その子は出し加減が足りないと思ったのか、立ち止まってジーンズをぐいっと3センチ程押し下げた。すると本当に尻が見えそうになった。ここまで大っぴらに見せられると色気はない。色っぽいのは着物姿のふくらはぎが見えた瞬間とか、抜いた衣紋の襟足とか、節操の中で僅かに見える姿で、へそ出しは味気ない。
今日も好天で爽やか。お陰で鬱は雲散霧消した。
自然公園への散歩の前に母を東京北社会保険病院眼科へ連れて行った。予約は9時で時間ぴったりに診察が始まり15分で終わった。緑内障の病状は前回と変わらない。緑内障は痛んだ視神経が治ることはないので、変わらなければ最善である。
帰りは構内の椎の木の下へ行った。椎の実を拾う人はいないようで、地面は椎の実で覆われていた。その中で新鮮なものを選んで1合ほど拾った。
自然公園の帰り、駅高架下のエスニックグッツの店で母にタイシルクのマフラーを2千円で買った。最近、少しゆとりが出来たが、仕事はすぐに大変になる。何か次の手を講じなければ、と考えていると、絵描き仲間のK氏から、画廊企画に穴が空いたので引き受けてくれないか、と電話があった。銀座4丁目の良い場所での企画展で使用料は必要ない。しかし、額代等の自己負担は40万程になる。それらを考慮して、どのくらい利益を上げられるか計算すると、精々2,30万程のものだ。加えて制作へ費やす精神的ロスもある。自分のための企画なら苦労してもかまわないが、画廊へ奉仕するロスは我慢ならない。
「今時、画廊の時代ではないでしょう。個展は経歴に加える程のはく付けにはならないし。」と、K氏のせっかくの好意を申し訳なく思いながら断った。
今、40万を捨てるつもりで、違う方向に使えばかなりの効果を上げることが出来る。昔は銀座画廊での個展を絵描きは憧れたが、今では自己満足に過ぎず、認められる足がかりにもならない。
絵描きの侘しい世界から秋日射しの自然公園を思い返すと、とても眩しく思えた。
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