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2007年2月10日 (土)

若者は革新的であるが、親になると保守的になる。2005年12月8日

講談社刊絵本きむらゆういち文、あべ弘士絵、「あらしのよるに」は250万部のベストセラーである。本体価格1400円だから印税はその1割の140円。それを文と絵が折半するので、それぞれが一億七千五百万円を得たことになる。気が遠くなる程の稼ぎっぷりだ。更に今回の映画化で、原作者きむら氏は稼ぎを増やすことだろう。

絵本のベストセラーは長期間販売されるので、一般本と比べると売り上げはとんでもない数になることが多い。しかし、そのような売れっ子絵本作家は日本では10人に満たない。その10人弱で仕事の殆どを独占していて、その他大勢は食うや食わずである。
ベストセラー作家がその他大勢より格別才能があるわけではなく、そのようなシステムになっているのである。このシステムは盤石で、新人が突き崩すことは殆どできない。なぜなら、その遠因が若い親達の保守性にあるからだ。

若者は概ね革新的であるが、親になった途端、ガチガチに保守的になる。原因は、現代に横溢する漠然とした社会不安にある。だから、自信のない親達は分かりやすい教条的な道徳観へ頼り始める。しかし、昔の親達には社会不安等蹴飛ばすくらいの逞しさがあった。彼らは子育てに今の親程のこだわりはない。おかげで我々は放任され、のびのびと育つことができた。

佐野洋子の「百万回生きたネコ」を始め「あらしのよるに」等のベストセラーには、どこか薄汚れた道徳観が臭う。それは伝統的な昔話の道徳観とは異質のものだ。もし「あらしのよるに」が昔話であったら、容赦なくヤギはオオカミに食べられてしまう。あるいは、うさん臭い愛ではなく、知恵やトンチでヤギはオオカミを出し抜いた。少々荒っぽくても、昔話は優しさや暖かさがストレートに聞き手に伝わる。昔話の強靭さは、生活の中から生まれ、大衆が育ててきた話だからかもしれない。

現代日本のベストセラー絵本は文部省の小役人と老舗絵本出版社で構成される審議会で選ばれ、推薦図書として始めからヒットするレールの上を走っている。
私の願いは、若い親達は馬鹿教師の推薦には耳をかさず、自ら子供に読ませる児童書を選んで欲しい。売れずに消えて行く大変優れた児童図書は実に多い。

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