早春の雨と死に装束。2006年1月14日
明け方4時に目覚めた。外はまだ暗い。母の様子を見に行くと死んだように眠っていた。深夜、就寝前に見に行った時と、寝姿に変化が無いのが気になった。しばらく様子を見ていると、手が少し動いたので安堵した。
最近、母の最期のことが気になる。先日の深夜、母は突然不安感が強くなって朝まで眠れなかったようだ。母は不安だったと話したが、実際は死への恐怖だったのだろう。
その朝、もしものことがあったら自分のものはタンスの1番下にしまってあるから、と母は私に話した。しまってあるのは死に装束やサラシ類のことだ。母は今までも定期的にそのことを話すが、その日は殊更現実味を帯びて聞こえた。
小雨の中散歩に出た。久しぶりに湿り気を帯びた冷涼な大気が鼻腔に心地よい。黒く湿った土に早春の趣を感じる。すでに蕗の薹が芽吹き始めたようだ。夕暮れのように暗い曇り空に木々の枯れ枝のシルエットが美しい。
自然公園の桜並木近くで桜の花の香りがした。厳冬期に桜が咲く訳が無く、それは幻香であった。一瞬、冬枯れの自然に、新緑と花々に覆われた風景が重なった。冬があれば春がある。その単純な自然の摂理に、暗鬱だった心が救われたような気がした。
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