絵も描いています。2006年2月12日
相変わらず30号の絵を描いている。今年に入ってすでに4回、始めから描き直した。イラストのような注文絵ならこだわらずにエイっと一気に描いてしまうのだが、ファインアートとなると妥協はできない。描いているテーマは海風である。新緑の架空の街に澄み切った青空、その上を海風が爽やかに吹き抜ける。そんな絵を描いている。
傍らのテレビでは日曜美術館をやっていた。今日は朱色を多用して桜島を描くことで有名な日本画家故西山英雄氏である。絵は見たことがあるが名前は知らなかった。力強い絵だが、出演者たちが語る程、最高水準の凄いと作家とは思えない。しかし、西山氏に傾倒しているゲストの画家が話す逸話は面白かった。ある日、西山氏が彼に日の丸を描いてみろと言った。彼は丸を描いて中を塗りつぶした。すると西山氏は「だからお前の絵はだめなのだ。絵は真ん中から周りへ広げるように描くものだ。」と諭した。なるほど、先輩の西山氏にだめだと言われて唯々諾々とかしこまるようだから、ゲストの画家はだめなのだ、と思った。
日本の作家は敬老精神が強く、先輩の言うことを素直に受け入れる人が多い。夭折の画家、パリ遊学中の佐伯祐三はブラマンクに自分の絵を描けと叱られ、急遽あの画風に転向したと言う。それは画家として情けないことだ。北斎やピカソなら素直に聞いたりはしない。敢然と拒否して、徹頭徹尾我を通すはずだ。日本画壇につきまとう骨の細さはその辺りが原因なのかもしれない。
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