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2007年3月 8日 (木)

石積みに打ち付けるさざ波。2006年2月22日

我が家は新河岸川の河岸にある。
散歩からの帰り、車道沿いに川風が吹きつけて来ると、いつも住まいが近いことを感じる。つい半月程前まで、その風は身を切るように冷たかったが、今日の風は春の息吹を感じた。
この春風に優しく包まれていると、一人でに春の歌を口ずさんでしまう。
「春の小川はさらさら行くよ」「卯の花のにおう垣根に」「蛍の光」「仰げば尊し」、何故か半世紀以上昔の唱歌ばかりだ。口ずさみながら、日南市大堂津小学校の校庭の桜や潮騒の音が走馬灯のように蘇る。

子供の頃の我が家のすぐ裏に細田川が流れていた。川と言っても海近くの河口である。古い石積みの川岸には小さな機帆船の漁船が繋がれ、石積みにさざ波がポチャポチャと打つけていた。
川には青のりが繁茂していて、子供達は岸壁から長い竿竹で採って柴垣にかけて干した。青のりは火鉢の炭火で炙り揉んで暖かいご飯にかけて食べた。今も、あの磯臭い青のりの香りが懐かしい。しかし、市販品を買ってみても、あの頃の青のりと味も香りも大きく違う。

そんなことを思い返しながら、私は住まいの13階の廊下を車椅子を押した。眼下の新河岸川は薄日にキラキラ光っていた。子供の頃の細田川のように澄み切ってはいないが、ボーッと眺めていると、のどかで温かい気持ちになる。
車椅子を止めている私に「どうかしたの」と母が声をかけた。
「川はいいね。ずっと先で海につながっていて・・・」
母には何となく私の返事の意味が分かるようで、頷いていた。
最近私はこのようなささやかな季節の情景に、生きている意味を感じるようになった。華やかな劇的な喜びよりも、ささやかな日常の方が遥かに大きな意味を持っているようだ。すでに、緑道公園の沈丁花は赤いつぼみを膨らませ、もう少し今日のような暖かさが続けば馥郁と開花するだろう。

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