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2007年3月 9日 (金)

独り者の人生。2006年2月25日

朝日夕刊に独り者の健康についての統計があった。それによると、独り者は夫婦者に比べて心臓血管系疾患の発症が多く短命であるようだ。夫婦間の思いやり、健全な食生活が健康維持に役立っているようだ。だから結婚しろと言うのではない。健康が不安なら参考になる統計である。

私は独り者だが例外的に健康的な生活をしている。それは母の介護をしているからだ。そのうち母は先に逝くが、その先も今の生活を維持することは難しくない。しかし、長命を願っていない。平均寿命どころか、70代前半で終わってもかまわない。ただし、死ぬ寸前までは人に迷惑をかけずに生きていたい。自然にそうなるのなら長命はありがたいが、不自然に抑制した生活を続けた結果の長命は望んでいない。

私の母方の祖父は40代で死んだ。母は養女なので祖父と血の繋がりはない。仏壇に写真があるが、精悍な男前でがっちりした体躯である。名は健太郎と言い、久留米ではちょっと知られた遊び人であった。彼は酒好きで浴びる程飲んだ。最期は医者に「飲んだら死ぬぞ」と脅されたにも関わらず、「酒を飲んで死ぬのなら有り難い」と飲み続けてあっさり死んだ。
母がそのことを愚痴った事はない。健太郎さんのことを幸せな人だったと話す。好きな事ばかりして濃密に生きたからかもしれない。

話はそれるが、母に手芸を教えたのはその健太郎さんである。彼は芝居の小道具を作るのが好きで、知り合いの芝居小屋に入り浸って、小道具の鯛や石灯籠を新聞紙等を使って作ったり、書き割りを描いたりしていた。そこに母が遊びに行くと、和紙を器用に丸めて人形を作ってくれたりした。どうやら、その感覚が母を介して私に伝わったようだ。
目的があっての長命は理解できるが、無目的な健康維持は共感できない。

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