枯れ木が折れるように逝くものだ。2006年3月20日
朝、散歩前に九州の兄からお彼岸の供物にと果物とお菓子が届いた。供物は仏壇に供え、散歩の準備を始めると、母は兄へ電話をかけている声が聞こえた。
車椅子を押しながら、兄へ届いた荷物のお礼を言ったのか、と聞いた。母は怪訝な顔をして「荷物が届く前に電話をしたのだから、お礼を言える訳がない。」と、強く否定した。「それじゃ、何故電話をしたの。」と私は聞き返した。母は暫く考えていて、お礼の電話をしたことにやっと気付いた。
最近の母は、時折、記憶が曖昧になる。そのような老いに始めて接した頃はショックだったが、今は慣れてしまった。
そのように、少しずつ老いて行くのは仕方がないが、寝たっきりにだけにはさせたくない。老人は精一杯元気にさせていれば、長期間寝込む事無く、枯れ木が折れるように逝くものだと、私は信じている。それで、私は母をせっせと散歩に連れ出している。今の所、その効果は出ているようだ。
今日は抜けるような青空に、小さな雲が形を変えながら流れていた。風は冷たく、地面に霜が降りていた。去年は3月10日に氷が張ったが、寒さは今年の方が粘っている。
日差しは強い。気温以上に暖かく感じる。古民家の庭の日だまりから自然林の向こうの池を眺めていると、巨大な緋色のものが水中を移動していた。よく見ると体長1メートル程の緋鯉である。誰か密かに放流したのだろう。日本庭園ならともかく、自然林の緋鯉はシュールであった。
帰り、小学校の講堂から「蛍の光」の合唱が聞こえた。もうすぐ卒業入学式である。
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