風が命を運び死とともに魂は風となる。2006年4月22日
今日も寒冷前線の影響で天候は目まぐるしく変わった。しかし、時折、新緑を濡らして過ぎて行く雨は心地良い。雨が過ぎた後に太陽が照りつけ、澄み切った青空に純白の入道雲が見えた。今日のように雄大な雲を見たのは子供の頃以来の気がする。雲は写真に撮り、その1枚を写真日記に掲載した。
☆写真日記 http://homepage2.nifty.com/m4s/jmx.html
爽やかな春風に吹かれていると、インディアンの言葉を思い出す。ナヴァホ族は--風が命を運び死とともに魂は風となる--と考える。文明に毒された我々にくらべ、自然と共に生きた彼らは死や苦痛や病気を自然の一部として真っすぐに受け入れていた。彼らにとつて死は別の世界への通過点に過ぎない。
昨夜は、廃線になる北海道銀河線最終列車の発車風景を中継していた。満員列車が停車するホームは冷たい雨。私は、旧国鉄の網走線と呼ばれていた頃、何度か乗車した。一度、真冬に旅した時、車窓は素晴らしい好天で、どのあたりだったか、クマザサの生い茂る冬枯れの疎林の上に目が覚めるような澄み切った青空が広がっていた。そのような昔のことを思い出していると、ベルと共に最終列車が発車して中継は終わった。列車の消えたホームは虚しく、私は漠然と死を連想した。
3月から5月にかけて母は一番元気な季節であるが、今年は疲労感を訴える。耳の潰瘍といい、明らかに体力は低下している。打つ手はないものかと考えた末、がん手術の頃、体力増強のために朝鮮人参を飲ませていたことを思い出した。朝、試しに飲ませてみると、夕暮れ、今日は疲労感が少ないと母は喜んでいた。どうやら、ほんの少し死神の目先を惑わす事が出来たようだ。
しかし、すぐに効果は消える。確実に、母、兄、姉、そして私へと死は訪れる。死は悲しい事だが、同時に命のリレーでもある。祖先達の命を私達が受け継いだように、我々の命は誰かが受け継いで行く。地球と言う巨大なサークルは、受け継がれて行く命の輝きに満ちている。死の辛さや悲しみは、知識として理解する事は大切だが、具体的に想像してはならないことだ。もし、そのことをインディアンの古老に聞いたとすると、「死を恐れるな、そのあとは精霊に任せよ。」と答えそうだ。
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