東京の春は本当に美しい。2006年4月26日
今日は早出して東京北社会保険病院皮膚科に母を連れて行った。待っている患者は5人程。今日の皮膚科医師は2人体制なので10分程の待ちで母は呼ばれた。
母の耳の潰瘍は殆ど治癒していて表皮の形成も見られる。
「良かったですね。万一悪性だったらと心配していました。」担当の女医さんは嬉しそうだった。再診は必要はないが、念のため半月後に診てもらうことにした。私も皮膚がんを疑っていたので肩の荷が下りた。会計の待ち時間も殆どなく、病院を9時15分に出て、いつものように散歩へ向かった。
肩の荷が下りたせいか、新緑が心に染みる。東京の春は本当に美しい。比べて、私が育った南九州では春は劇的でない。冬が来たと思うとすぐに菜の花やレンゲが咲き始め、温和ではあるが季節の切れ味が悪い。しかし、北方に位置する東京の新緑は違う。長い冬に耐えた枯枝ばかりの木々が一斉に萌え出る。この新緑の鮮やかさに、今も毎年のように感動している。
新緑の自然公園では保育園年少組の子供達が遊んでいた。春の感触が楽しいようで、中には靴を脱いで走り出す子もいる。保母さんは急いで追いかけ捕まえて、靴を履かせる。柔らかな日差しと新緑の中、若い保母さんと子供達の追いかけっこは生命に溢れていた。
辛い事ばかりの日々の中、この公園へ来ると不思議に厭な事を忘れてしまう。自然は本当に素晴らしい。厳しい季節であっても深い啓示を感じる。私も母も毎日の散歩でどれほど救われたか分からない。
公園の橋上で久しぶりにOさん達と会った。橋上は板張りの広場で、せせらぎを吹き渡る風が心地良く老人達のたまり場になっている。
Oさんに病院に寄って来たと話すと、老人達の話題は病院談義になった。彼らは病院情報に実に詳しい。Oさんの話では、新規開院の病院は老人達の噂一つでつぶれる事があるそうだ。病院経営者はこのような場で自分たちの生死を決する噂が流れているとは夢にも知らないことだろう。
帰りは桐ヶ丘生協で買い物をし、桐ヶ丘団地を抜けて帰った。桐ヶ丘の公園は古木が多く深い緑に覆われていた。ツツジも咲き始め、これから次々と満開になる。
ツツジが咲くと祖母の命日が近い。32年前の5月1日早朝、祖母は83歳で死んだ。上京した兄と私は満開のツツジの中、かかりつけの医院へ死亡診断書を貰いに行った。ツツジを見ると、その日のことを昨日の事のように思い出す。
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