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2007年3月20日 (火)

高齢の母は病院内をたらい回しされた。2006年5月1日

今日は母の胃カメラ。9時前に家を出て受付を済ませ、検査室へ着いたのは予約30分前であった。すぐに、若い看護婦さんが母の喉の麻酔をした。胃カメラ担当の女医さんも予定時間前に検査を始めた。診察は患者と付き添いと一緒にモニター見ながら説明してくれる。結果は、老人性の胃壁の萎縮、骨強化薬ベネット錠の副作用による食道の軽い炎症、緊急性の無い平らなポーリープ、と心配ないものばかりだった。

その後、内科へ移った。1時間近く待たせて診察した40代の医師は肝臓ガン再発を示す腫瘍マーカーの危険値を示しながら、医師は咎めるように何故今まで放っておいたかと言った。「放ってはいません。去年2月に同じ症状で当院の内科の診察を受けています。」と反論すると、医師は矛先を替えた。「駒込病院の紹介状を持って来て下さい。それがない限り診察も検査もしません。」と言った。「母も私も肝臓ガン再発は覚悟しています。希望するのは根治ではなく、緩和医療です。」再度反論したが、医師は取り合ってくれない。その診察方針はおかしいと強く言うと、「外科へ行って下さい。」と、医師にたらい回しされてしまった。

外科の待合室は連休前でごった返していた。騒がしい待合室で暗澹と診察時間を待つ内に、私はこの病院に任せいては母を不幸にしてしまう気がしてきた。
「キャンセルして浮間診療所へ行こうか。」母に言うと、母は頷いた。
生協浮間診療所は母の家庭医で老人の終末期医療へも積極的に取り組んでいる。今すぐ出たら午前の診察に間に合う。初夏のような日差しの中、私たちは川向こうの診療所へ向かった。

診療所の担当医は休んでいたが、代診は優しい女医さんだった。これまでの経過を話して、緩和医療を希望していると話すと、「お気持ちはとても分かります。お母様の症状に応じて緩和治療をします。」と丁寧に受け答えしてくれた。

帰り道、私も母も救われた心地だった。治療技術において大病院は優れている。しかし、患者の心のケアはなおざりにしている。比べて、患者の事情を考慮してくれる、このような家庭医はとても有り難いと思った。

母のガンは治ることはないが、死ぬまでガンと共存しながら明るく生きることはできる。3年前、母がガンで倒れた頃と比べ、私も強くなった。事実は淡々と受け入れ、出来る限り母が明るい終末を迎えられるようにしたいと思っている。

昨日、病院から帰った時、Yさんに会った。Yさんは母が検査の後そのまま入院ではと心配していた。「入院なんて厭ですよ。ご飯は不味いし、金はかかるし、悪くなっても家で過ごすつもり。」と母は陽気に答えていた。
母は死んだらあの世でYさんちのモモちゃんを可愛がってあげるつもりらしい。
Yさんは旅行へ出かける。留守中、車が必要な時は主人へ言って下さい、と親切な事を言っていた。

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