彼は相続したアパートの家賃収入があり、貧乏絵描きではない。 2006年5月28日
昨日の午後、池袋リブロへ色彩構成の本を買いに行った。以前は美術書は新宿紀伊国屋へ行っていたが、今は池袋リブロで殆ど間に合う。この本屋は出版社の営業の出入りも多く、時折、顔見知りと出会う。だから行くと、何となく周囲に目配りしてしまう。
昨日は編集者とは会わなかったが、美術書コーナーで絵描きのMさんと出会った。江古田近辺に住む彼とは池袋界隈で時折出会う。どうやら私と彼は行動パターンが似ているようだ。
彼は高価なボッシュの画集を手にしていた。「描いていますか。」と聞くと、「いやー」と曖昧に笑っていた。
彼は難関の芸大油彩を出ているが、今はあまり絵を描いていない様子だ。もっとも、私のように追い立てられるように描かなくても、生活の不安はない。彼には親から相続したアパートの家賃収入があり、美大受験予備校の講師もしている。子供も3人いて、私から見ると幸せそのものである。
「パソコンを始めようと思っている。」とMさんは話した。しかし、いまだに携帯メールも打てないのに、パソコンは無理な気がした。独立したお嬢さんがデザイナーをしているので、マックを教えてもらったら、と言ったが、Mさんはまた「いやー。」と曖昧に笑った。一応、マックの新機種を教え、帰りにビックパソコン館へ寄る事を薦めた。
私は母の夕食が待つているので、そこらで彼と辞し、急いで配色パーターンの本を選び、帰路についた。
池袋駅地下通路のCDの出店から「アメージング・グレース」が流れていた。雑踏で耳に入るその曲は心に染み入る。「白い巨塔」の出だしで流れていた歌手の声にも似ている。他の歌手の「アメージング・グレース」は既に持っているが、流れていたジュディ・コリンズ盤はない。値段は1500円と手頃だつたので、ためらわず衝動買いした。
夕食後、「アメージング・グレース」を聴きながら、配色バターンの本を眺めた。配色はいつも頭の中で想像するが、ワンパターンになりがちである。それで時折、専門家の構成したものを見ると刺激になる。これで、ギャラが安過ぎてなかなかやる気が起きなかった絵本の仕事に取りかかれそうだ。
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