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2007年3月24日 (土)

日本人が戸惑うカナダ医療事情。2006年6月17日

カナダに移り住んだ知人からメールを貰った。
彼女の米国籍の夫はカナダの会社へ就職したばかりで、健康保険加入に3ヶ月以上を要する。その間の医療費は自費か渡航保険で対応する他ない。移民、留学生、ワーキングホリデーが多いカナダでは、当局が意識的に健康保険取得を遅滞させる傾向があるようだ。

彼女は突然の腹痛で救急病院へ運ばれた。しかし、診察まで5時間待たされた上、超音波検査担当が時間外で不在のため、原因が特定出来ないまま帰宅した。支払った医療費は4万円弱で、後日、旅行保険から払い戻しを受けた。

彼女は病院で超音波診断を勧められたが、カナダはホームドクターの紹介がないと専門医は受診できない。だが、肝心のホームドクターはすぐには見つからない。彼女は苦労してやっと医師を見つけた。しかし、日本のように電話で予約を取り、簡単に診察を受ける事は出来ない。そのホームドクターの予約に更に日数を費やし、やっと診察を受け、超音波診断の専門医に紹介となった。

その専門医の診療所はホームドクターの近所にある。だが、カナダでは紹介状を郵送するシステムで、配達に10日を要した。それから、超音波診断の予約を取るのに更に日数を要し、結局、検査を受けるまでに発病から3ケ月が経過していた。

だが皮肉な事に検査を受けた時、彼女の病気は治っていた。余りにも待たされたために自然治癒してしまったようだ。傍目には笑い話であるが、もし、彼女が急を要する重篤な病気であったら笑い話では済まない。

カナダ医療は世界的に進んでいると言われているが、日本のシステムに慣れた邦人には不評である。たとえば、脊椎損傷の激痛に苦しんでいる患者が、何年も手術を待たされているケースがある。その不備を補うDrop inと呼ばれる自由診療があるが、かなり高額になる。

とは言え、カナダの勤労者は、長雨の後に晴れたりすると勝手に休んで遊びに行ったりする。この自由気ままな生活なら、医者なしでも健康に暮らせそうだ。
すぐに医者にかかれるが不健康な生活環境の日本が良いか、医者にはかかりにくいが健康な生活環境のカナダが良いか、これは生き方の問題だ。
だが、我が国の劣悪になって行く医療保険制度の現状を思うと、自己責任で健康に努め、医者には滅多にかからないカナダの生き方が、良いような気がする。

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