野生の動物は弱っても誰にも助けを求めない。2006年6月21日
自然公園に行く度、母が枝を撫でるサカキの木がある。サカキと言ってもサカキではなく、違う種類の木なのだが、似ているので、母は勝手にそう呼んでいる。
4年前始めて公園へ連れて行った時はまだ小さくて、母は幼木の頭を撫でていた。しかし今は、母は大きく成長したサカキを見上げながら、下枝を撫でている。その姿を写真に撮って九州の兄へ送ったら、とても喜んでいた。色々辛い事があったのに、よくぞここまで頑張ってくれた、との思いが兄にはあったのだろう。
今朝の小雨が老人達の出ばなをくじいたのか、自然公園は人出が少なかった。雨に濡れた静かな自然は美しい。
湧水の流れ脇の鬼グルミの枝に、キジバトが羽毛を膨らませてうずくまっていた。春先、連れ合いを亡くし、1羽になってしまったキジバトである。彼らは地上性の鳥で、枝でうずくまっているのは体調が悪い時である。立ち止まって見ていたが、普通ならすぐに逃げるのに静かに私を見ていた。この野生に共通の、弱っても誰にも助けを求めない、静かな視線は美しく凛々しい。
少し行くと、歩道脇で若々しい毛並みの細っそりとしたキジバトがススキの枯れ葉を夢中で物色していた。体つきから若いメス鳥で、巣材を探していたようだ。ややあってキジバトは私に気付き、ビックリして飛んで逃げた。今日は人出が少なかったので、うっかりしていたのだろう。
今、ビロードモウズイカが黄色い花を咲かせている。その中で一番立派な株の花は、先日、途中から切られて持ち去られた。花泥棒は粋だと勝手に思い込んで、生け花の花材に盗んで行く者の仕業である。皆の顰蹙を買っている事は犯人は気付いていない。豊かな自然の野の花を摘むのなら、十歩下がって目をつぶるが、都会の脆弱な自然を傷つけるのは許せない。
しかし、ビロードモウズイカは強かった、切られた茎の回りから10本程更に茎を伸ばして、沢山の花をつけた。成長を見守っていた老人達は、「めげずに頑張ってくれて、有り難う。」と喜んでいた。傷つけられてもめげずに逆境を跳ね返して、花を咲かせる姿には勇気づけられる。
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