南東のビルの間に小さく隅田川の花火が見えた。2006年7月29日
川向こうでは今夜も盆踊りをやっている。先程から、にぎやかな八木節が繰り返えされ、うんざりしている。会場から、かなりの距離があっても五月蝿いのだから、近所はさぞや大変だろう。
昨日、浮間診療所で処方してもらったガスコン錠は効いたようだ。今日は腹の張りが治まったと母は喜んでいた。副作用の少ない薬なので、連用出来そうだ。
12チャンネルで隅田川花火大会を中継していた。ベランダへ出て南東を見るとビルの間に小さく花火が見える。
「隅田川の花火が見えるよ。」
傍らのベットで布団を直していた母に教えた。
「綺麗でしょうね。」
母は手を止めず、ゆっくりと布団を直し続けた。私が手伝えば直ぐに片付くが、母が出来ることは手伝わないことにしている。
「頭に載せる冷たいの、持って来てくれた。」
ベットに横になった母は冷湿布のことを聞いた。冷湿布は母が布団直しの最中だったので、傍らに置いてある。
「さっき、そこへ置いたでしょう。」傍らを示すと、
「あっ、そうだったね。」と母は照れ笑いした。
暑くなってから母は冷湿布を額に載せて寝ている。
冷湿布は時間が経って暖まっていたので、台所で氷水で冷やし直し、母の額に載せた。
「冷たくて気持ちいい。」
母は目をつぶった。
疲れていると母の世話に苛立つことがある。昨日は母の介護関係の事で駆け回り、ヘトヘトになって帰宅すると、すぐに矢継ぎ早に用事を言いつけた。
「次々と言いつけるんじゃない。」
乱暴に言うと
「私だって、ちゃんとしていれば、人にものを頼んだりしない。」
母はすかさず言い返した。
昔、母が祖母の世話をしている頃、同じような光景を見た。
「あの時、素直に聞いてあげれば良かった。可哀想な事をしてしまったね。」
祖母が死んで暫くして、母は漏らしていた。母が逝った先のことを思うと、苛立っても、やるべき事は黙ってやる方が良いのかもしれない。
今日の散歩帰り、去年まで、自然公園でよく会っていた老夫婦の夫人に会った。これから夫が入っている介護施設へ行く所のようだ。
「お元気で、よろしいですね。」
その人は母に話しかけていた。以前、その人は裕福で幸せに見えたが、今日はやつれていた。
母も弱っているが、人から見ると、母はとても元気なのかもしれない。
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