澄み切った空に羊雲が見え、池袋に着く頃は黄昏になっていた。2006年9月24日
毎日、緑道公園で会う若者がいる。年の頃30代半ばで、少し精神を病んでいる。彼はいつも幻覚の友達と会話している。その友達はとても良い人のようで、時折、楽しそうに笑う。そんな彼を見ていると、病気は治さないで、そのままの方が良いように思えて来る。
午後、画材屋へ出かけることにした。
昨日、キャンバスのグランド作りに失敗したと書いた。それに気付いたのは、描きかけのキャンバスをベランダに持ち出して眺めてみたからである。自然光の中では、地塗りの失敗箇所がはっきりと見えた。室内で描いている時、まったく気付かなかったのに、自然光の解像力に改めて敬服する。これからは、描いた絵は総て自然光で確認しようと思う。
出かける前に、必要な画材が池袋世界堂にあるかどうか電話で確認した。新宿本店と違い、池袋店は駅構内にあるので、とても便利である。家を3時半に出て、買い物を済ませて4時半に帰宅出来た。
5時半、母に夕食を出しているとT君から電話が入った。新宿から帰る所だから、池袋へ出て来いと言う。仕方が無い。彼に渡したいオリーブ油があるので承諾し、再度池袋に出かけた。
車窓の澄み切った空に羊雲が見え、池袋に着く頃は黄昏になっていた。
東武デパートから外へ出ると池袋西口は秋祭りの最中だった。新品の神輿が街の明かりに煌めき、祭り装束の女の子のキリリと結い上げた黒髪が凛々しい。日本の伝統は本当に素晴らしい。
喫茶店でT君は先に待つていた。45年の付き合いの彼は、私が困るといつも助けてくれる。彼は英会話学校の経営者で、今年になって事業拡大の最中で疲れている様子。彼は明日、気晴らしに山登りをすると言う。9時半まで世間話をして今日は早めに別れた。
帰宅すると、母は珍しくぐっすりと寝ていた。開けた窓から冷たい風が吹き込む。暑さ寒さも彼岸までと言うが、その通りだ。跳ねのけている布団を母に被せ、窓を閉めた。
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