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2007年4月 3日 (火)

時間が悩みも苦しみも押し流して行く。2006年11月16日

今朝も、開院と同時に生協浮間診療所へ母を連れて行った。
母の疲労感は昨日よりひどい。僅か1日、ベットに横になっていただけで脚力は弱り1メートルも歩けない。部屋のポータブルトイレへ、両手で抱え母を移動させる時も、足はワナワナと震え立ち止まることができない。このままでは確実に寝たっきりになってしまう。

今日の診察は院長だった。
レントゲンを撮ると結腸に便の滞留があり、その後方にガスが溜まっていた。すぐに、浣腸が施され、ほぼ排泄できた。
院長診断では、まだ確定は出来ないが、ノロウイルス感染が濃厚だとのこと。そう言われると思い当たる。月曜に母が生ガキを欲しがったので食べさせた。1〜2日の潜伏期を考えると、翌日の夕刻、激烈な嘔吐が始まったのが符合する。生食用の清浄海域で養殖されたカキで汚染は無いはずであるが、老身では僅かなウイルス数への抵抗力もなかったのかもしれない。
通常のノロウイルス感染なら、休養するだけで2日で自然治癒する。しかし、母は数倍はかかるだろう。ノロウイルスに効く抗生物質はないので、点滴による体力回復が最善である。院長は、もう少し経過を見て、回復しなければ入院治療が良いと言った。
しかし、入院すれば更に脚力は衰える。何とか今週中に体力が回復してくれることを願うばかりだ。

帰宅しても、母はベットに横になったままだ。寝ていても疲労感は強く、僅かに体を動かすだけでもブザーで私を呼ぶ。夕暮れまで、私は何十回となく仕事部屋とベットを往復した。頻度は減るがそれは睡眠中も続く。

母の症状は腸炎だけではない気がする。疲労感と吐き気は、今年始めから日に日に増していた。今の症状は肝臓ガンとノロウイルスによる腸炎が複合したものと考えるのが自然な気がする。このまま母の病状に繊細に対応しようとすると、必ず挫折する。出来ることだけ引き受け、出来ないことは人に任せる。そして残りは、運命として母に諦めてもらう他ないかもしれない。

漠然と不安があるが、今は忙しさで考える余裕は無い。
確実なのは、時間が悩みも苦しみも総てを引き包めて、押し流して行くことだ。
私は、腹をくくって、やがて訪れる静かな日々を待つことにした。それはまた、喪失感にさいなまれる日々でもあるが、強引に受け入れる他ないだろう。

Ma_3

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