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2007年4月 3日 (火)

生者必滅。2006年11月26日

母が倒れた日、家の中にハエが侵入して来た。中型の家バエで、何時休んでいるだろうと思うくらい、いつも元気に飛び回っている。それから10日程になるが、元気は少しも衰えない。母が入院中は、私が帰って来るとそのハエがいつも迎えてくれた。そうなると、ハエでも家族のように思えるから不思議である。

そのハエが今朝、昨日から干している洗濯物を取り込もうとベランダのガラス戸を開くと、明るさに惹かれて外へ飛び出した。外は曇天で寒い。ハエはベランダの壁にとまったが、すぐにポトリと床に落ちてしまった。寒さで体が瞬時に硬直したようだ。床を探してみたが見つからない。日射しが戻り、体が温まればまた飛び回ることだろう。そのことを母に話すと「可哀想に。」と同情していた。

今日は、母の車椅子を赤羽自然観察公園まで押した。母は休んでいた間に、散歩道の木々が秋色に変わったことを驚いていた。「清々しいね。」と母は気持ち良さそうに外気を吸っていた。母は余程気持ちが良かったのか、自然公園に着くと少し歩くと言った。好きにさせると10メートル程歩いた。
その後、管理棟のトイレに行ったが、今日は尿量が少ない。気にしないように言ったが、母は気落ちしていた。

生協でお昼の食材を買って帰ったが、帰っても小用は止まったままだ。その所為か、母は食欲がなく、少し食べた昼食を吐いてしまった。
どうすれば良いのか、悩んだ末、吐き気止めのナウゼリン錠を飲ませた。この薬は消化管に出血があるとき飲むと出血を助長することがある。しかし、胃潰瘍における吐き気止めにも処方される。私は後者だと判断して飲ませたが、その後の経過が心配だった。しかし、再出血の徴候は無く無事に過ぎた。
夕食時も吐き気は散発的に見られたので、固形物は止め、乳酸飲料だけを多めに飲ませた。

老人介護は一喜一憂してはならない、との原則がある。
老人の体調は不安定で、1日の朝夕でも目まぐるしく変化する。それに一喜一憂していては、介護する者の体が持たないのである。しかし、この脆さには疲れる。まるで、シャボン玉でお手玉している心境だ。形あるものは壊れると、一刀両断に割り切れれば楽なのだが、俗人には無理なことだ。

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