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2007年4月 5日 (木)

奥歯を失う覚悟ができた。2006年12月19日

歯の診断結果は悪く、失う公算が大きい。歯根の股が感染した場合の治療は手術しか無いと、担当歯科衛生士に言われた。しかし、その手術は健康保険適用外で高額な自由診療になる。
「現在、お金はありませんので、保険で出来る範囲で治療して下さい。」
と言うと、担当のTさんは困った顔をした。前日、インターネット検索で調べた結果でも、手術以外での完治は非常に難しい。困った顔をしたTさんの気持ちがとても理解出来た。
「だめでもかまいませんから、出来る限り歯根を綺麗に掃除して下さい。」
そう頼むと、Tさんは患部の歯根を40分程かけて丹念に掃除してくれた。もし、私自身に自然治癒力があれば、落ち着くかもしれない。

帰り、暗澹と夕暮れの道を歩いた。今まで、金がない辛さを何度も味わって来たが、今回は別格に重く感じた。夕食を終えても、気持ちは沈みっ放しで、テレビを見る気になれない。
仮に手術をしても必ず成功する訳ではなく、すぐに悪化して歯を抜く公算が大きい。だから、余分な金があっても仕事へ回すだろう。

色々な治療法を比較しているうちに、いざとなれば抜けば良い、との考えに至った。そう決意した途端、不思議なことに今までの重苦しさが一瞬に晴れ、気分が楽になった。それから口を開いて、鏡に写る奥歯に
「まだちゃんとしている綺麗な歯なのに、抜くことになって悪いな。」と話しかけた。これは私のまじないで、抜くぞと脅された奥歯が抜かれまいと頑張って治そうとするかもしれないからだ。
以前、テレビが壊れると、「古いテレビは捨てて、買い替えようかな。」と話しかけた。すると、不思議と治っていた。そのまじないが奥歯にも通じそうな気がした。

今朝、奥歯を見ると、赤く腫れていた歯肉が締まってピンク色に変わっていた。
今回もまじないが効いたようだ。このまま落ち着いてくれればとても有り難い。しかし、感染を繰り返すようだったら抜くことにする。

今回、失うことを恐れなければ、何も怖くないことを知った。失うまいとこだわるから、人は不幸になる。

Ma_3

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