のどかな冬日射し。 2007年1月13日
今日の寒さは車椅子を押すのに丁度良い。母も毎日外へ連れ出しているので寒さは平気である。
緑道公園で一休みしてお茶を飲んでいると、知らないお婆さんが「寒いですね。」と話しかけてきた。思い出せないが、何処かで会った人なのだろう。母は適当に話を合わせて受け答えしていた。
もしかすると、本当に知らない人かもしれない。老人は適当に理由をつけて知らない人に話しかける。それが出来る老人は孤独にならない。私も老いたら、そのように知らない人に話しかけようと思っている。
自然公園管理棟の日溜まりで休んだ。
疲れ休めではなく母を暖める為だ。陽光に含まれる長赤外線は体の芯まで暖め、お風呂に浸かっているように心地良い。休んでいる足元まで、葉の落ちたナラの木影が伸びていた。見つめていると、とても平和な気持ちになった。
このところ母の体調が安定しているので気分が穏やかだ。健康でありさえすれば、お金は質素な生活が出来るだけあれば十分だ。最近厭な事件の殆どにお金が絡んでいるが、お金だけで人は幸せになれない。
自然公園の池にゴイサギがいた。池の島で微動だにせずに魚を狙っていた。冬枯れの中にずんぐりした縫いぐるみのような灰色の姿は童話の世界のようだ。
公園のマユミは清楚でピンク色の実をまだ残していた。漢字では真弓と書き、昔はこれで弓を作ったようだ。可愛い木なので、母はマユミちゃんと呼んでいる。
公園の帰りに駅前に出た。雑踏を車椅子を進め、母用のエビオスと舞茸を買った。今日のような寒い日は何故か東京が都会らしく見える。それは、子供の頃、始めて博多へ行った時、とても寒い日だったからかもしれない。
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