思い出したくない過去。2007年2月20日
今朝、住まい下に流れる新河岸川上流の遊歩道で変死事件があった。
その人は50歳のデザイナーで、生活は豊かそうには見えない。まだ殺人なのか、自殺なのか判明していない。
その遊歩道はここから1.5km程で、以前行ったことがある。工場と川に挟まれたとても寂しい場所で、夜は歩きたくないと思った。我が家のある北区内は自然豊かだが、板橋区に入ると工場が多く殺伐とした風景に変わる。
今日の散歩は、陰惨な事件を洗い流すように冷たい雨が降っていた。
昨日開きかけた沈丁花は開くのを止めた。自然公園のネコヤナギの莟はフサフサの毛先に雨粒を纏ってキラキラ光っていた。冷たくても、すでに春である。この早春の感覚は幾度も幾度も味わって来たのに、毎年、新鮮に感じる。
最近、母の車椅子を押しながら、突然に大昔の些細な出来事が蘇る。
今日も、高校生の頃、友人宅に遊びに行ったら、深刻な家族会議の最中だったのに、私は空気を読めず、そのまま居座って皆に白い目で見られた事を思い出した。「いやだいやだ。」と思わず声に出してしまうと、「どうしたの。」と母に問われてしまった。
他にも、雨の日に、登山用ヤッケを着て、屋根に上ってトランジスターラジオを聞いていたら、向かいの旅館の修学旅行の高校生達に思い切り、馬鹿にされて笑われた事。上越を旅行していた時、ボックス席で一緒になったホステス風の女性達の前で、大人ぶってビールを一気飲みして気分が悪くなった事など、40年以上昔の恥ずかしさが蘇る。
更に、ここでは書けないような恥ずかしい事も次々と蘇るが、都合が良い事に、それらの出来事を記憶する者は私以外にいない。年を取ると、厭な私の過去を知っている者がいなくなって、本当に助かる。
再放送の「ぼくの魔法使い」宮藤官九郎脚本が終わった。
出演の篠原涼子のダメ妻がとても面白かった。赤ちゃん言葉の幼児症の彼女の仕草の一つ一つが、昔付き合っていた女に瓜二つで身につまされて笑ってしまう。
ドラマはとても良く出来たコメディで、すでに映画化されたようだ。その女との過去も思い出したくない過去の一つだが、こちらは記憶する者達が健在なので、なるべく遭遇しないようにしている。
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