停電が何故か懐かしかった。2007年4月4日
散歩の出がけに母は嘔吐した。
咳をしようとした刺激で戻したようだ。先立っての異常感はないので、心配する性質の嘔吐ではない。もし、これが散歩中だったら処置が大変で、出かける前で本当に助かった。
去年は頻繁に嘔吐していたが、今年は始めてである。朝食のアイスクリームの量がやや多過ぎたのかもしれない。明日から調整することにする。
今日は更に寒く、母に冬服を着せた。桜は更に散って、地面は花弁に厚く覆われていた。車椅子を押す身には冷たい大気が心地良い。
緑道公園の墓地脇にさしかかると、ベンチで休んでいた40代のホームレスに声をかけられた。
「すみません。お尋ねしますが、この辺りで墓地はここだけでしょうか。」
かなり年期の入ったホームレスだが、身なりに似ず話し方は礼儀正しい。私は1キロ程下った線路近くにある小さな墓地を教えた。彼の話では、墓近くに住む知人を10年前に訪ねた事があるので、再訪したいようだ。しかし、今もその知人が同じ場所に住んでいるとは思えない。もし、いたとしても彼を受け入れてくれるかどうか分からない。そんな彼がどのような人生を送って来たのか、少し気になった。
母の嘔吐騒ぎで遅くなったので、買い物はせずに急いで帰った。
先に家に来ていた姉に母を任せ、私は横になった。最近、朝早く目が覚める事が多く、寝不足が続いている。20分程熟睡して目が覚めると姉が帰るところだった。
今日は電気工事に伴い、1時から15分間の停電があるので、急いで昼食の準備をした。野菜を刻んでいるとパッと電気が消えた。停電でも料理は出来ると思っていたが、水道も止まって何もできない。仕方がないので再度横になった。時間が止まったように感じる。しかし、テレビもパソコンもだめである。外は雨が降りそうで、自然光だけの室内はとても暗い。母の様子を見に行くと、手持ち無沙汰に椅子に腰かけていた。「昔はいつも、こんなだったんだね。」と話すと、母は嬉しそうに頷いた。久しぶりの停電が懐かしかったようだ。
電気がついたので急いで昼食を済ませた。
午後、2度目の停電があった。外は激しい雨で雷鳴が聞こえた。玄関のドアを開けると重い雲の下、雨に霞む地表が見えた。停電は、ふと人間らしい生活を思い出させてくれたようだ。電気が点くと、ニュースで都心でみぞれが降ったと伝えていた。
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